海外/国内ミステリ小説の投稿型書評サイト
皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止 していません。ご注意を!

[ ホラー ]
地を穿つ魔
タイタス・クロウ
ブライアン・ラムレイ 出版月: 2006年01月 平均: 5.00点 書評数: 1件

書評を見る | 採点するジャンル投票


東京創元社
2006年01月

No.1 5点 クリスティ再読 2018/11/06 08:35
オカルト・ハンターは名探偵の変種みたいなもののわけで、本作のタイタス・クロウだって明白にシャーロック・ホームズの子孫に違いないわけだが...名探偵ぽさを発揮した短編集から、長編のサーガへ移り変わる、その移行期にあたる本作はというとね、怪獣小説みたいなもので「ウルトラQ」である。
そう見ると、たとえばデニス・ホイートリーからジョン・ブラックバーンに続く英国産「ウルトラQ」の系譜みたいなもの(苦笑)を考えてもいいのかもしれない。あ、本作の「怪獣」はクトゥルフ神話の邪神たちなのだが、「クトゥルー眷属邪神群(クトゥルー・サイクル・ディーアティーズ)」略してCCD、ということになる。CCDなんて略された日にゃ、得体の知れないラヴクラフト的「宇宙的恐怖」の名残はなくて、

ピースリー教授のいうところの”害獣駆除(ペスト・コントロール)”が完遂されなければならない

と「駆除」の対象である。「人類の英知を結集した」ウィルマース・ファウンデーションにやっつけられるような、情けないものだ。
せいぜいクロウと相棒のマリニーを怖がらせてはくれるが、やっつけれるものだから、怖くはない。弱点は護符と水と放射能だそうだ。「ペギミンH」が特効薬として「はいこれ」されて脱力したウルトラQ(スポンサーは武田薬品だ)みたいなもんだ。評者はCCDが気の毒になってくる。このイギリス人の怪獣退治に比べたら、イマドキの日本人的な萌えクトゥルフのキャラ化のセンスの方に、評者は座布団一枚。がんばれ邪神ちゃんたち!


キーワードから探す
ブライアン・ラムレイ
2019年05月
ネクロスコープ
平均:6.00 / 書評数:1
2006年01月
地を穿つ魔
平均:5.00 / 書評数:1
2001年03月
タイタス・クロウの事件簿
平均:7.00 / 書評数:1