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[ ハードボイルド ] 砂漠の天使 デイヴ・ブランドステッター |
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ジョゼフ・ハンセン | 出版月: 1986年12月 | 平均: 6.00点 | 書評数: 1件 |
早川書房 1986年12月 |
No.1 | 6点 | クリスティ再読 | 2018/10/29 20:09 |
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それとなく前振りをしておいたとおり、70年代的ネオ・ハードボイルドのホモセクシャル探偵として名を上げた、デイヴ・ブランドステッター物の第6作である(なので出版は82年)。読んだ感じは「これ、ハードボイルドって言っていいのかなあ?」というところ。
そりゃホモセクシャルということで、マチズムには無縁だし、リアリズム重視から私立探偵設定さえ止めて保険調査員という職業。まあそういう設定面はどうでもいい。評者の見るところ、主人公周辺を丁寧に描いて魅力があるのだが、「皆さまに支えられて」感がありすぎるために、「孤独なオレ」の小説としてのハードボイルドらしさみたいなものが、完全にないんだよね。ここ結構重大な違いのように評者は思うよ。 もちろん愛人のセシルや、義母で関係のビミョーなアマンダといったレギュラーたちとの人間関係の面白みが十分あるし、アーチャー風になかなか本音を言わない関係者の話を聞いて回るあたりに、リアルな小説的充実感がある。恋の鞘当てまであったりするから、エンタメとしては充分。ラストはあっと驚く派手さもあるから期待してね。 「ハメット・チャンドラー・マクドナルド・スクール」とは言うけども、「エリン(第八の地獄)・後期マクドナルド・スクール」ってのも考えていいんじゃないのかな。ロマンvsリアル、ヒーローvs等身大、といった対立軸でもまとめれるかもしれないや。まあこのシリーズ、雰囲気もいいし、文章も上手さを感じる。少し追っかけても退屈しないんじゃないかな。 あとねえ、作者は「ゲイ」という言い方を嫌がってるそうだ。「ゲイ・カルチャー」にアイデンティファイする人が「ゲイ」のようにも評者は思えるから、「ホモセクシャル」でイイんだと思うよ。まあ傍でどうこう言うよりも自己申告を重んじるべきかな。黒人のセシルくんが時代柄からして「パラダイス・ガレージ」とか「ウェアハウス」で遊んでたとかしたら面白いんだがね。 |