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[ 本格 ] 忘却へのパスポート ジェイスン・ラブ |
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ジェイムズ・リーサー | 出版月: 1965年01月 | 平均: 4.00点 | 書評数: 1件 |
早川書房 1965年01月 |
No.1 | 4点 | クリスティ再読 | 2018/10/16 09:15 |
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スパイ小説全盛期に1作だけ紹介されたイギリス・スパイ小説。「スパイがいっぱい」というタイトルで、デヴィッド・ニヴン主演で映画化されている。映画と連動で翻訳されたのだろう...
テヘランでイギリスのスパイKが行方不明になった。しかし中東のイギリススパイ網が壊滅していたために、その調査に当たる人材がたまたまいなかった....諜報機関の次長マクギリヴレーは、戦時中に知りあった医師ジェースン・ラヴ博士をスカウトすることにした。思いのほか軽い気分でテヘラン行きを承知したラヴ博士は、促成のスパイ教育とスパイ秘密道具を授けられて、「国際マラリア会議」出席を名目としてテヘランに向かう。が、搭乗予定の飛行機が何者かによって爆破された。そもそも生還のアテがあるのだろうか?? 大体こんな話。描写はハードで、スパイ活動のデテール感は少しある。イラン国王の暗殺を阻止したラヴ博士が、脱出の際にソ連スパイに捕まって...とか、後半なかなか派手な展開をする。けどね、最終的なソ連スパイの作戦が凝り過ぎでトンデモだし、支給されたスパイ道具の性能がなかなかもってファンタジー。現在でも小ささと性能の要求仕様を満たすのが難しいと思うよ....要するに「電池どうするんだ?」と評者とか、悩む。007が車に仕込む追跡用発振器が、タバコパッケージサイズなのがリアリティってものだ。で巻き込まれ型スパイ、というわけでもなくて、一応はヴォランティア(志願兵。柔道が茶帯だけど強いぞ)だし、中途半端な雰囲気がただような。サポートもなしにシロウトを敵地に送り出すイギリス諜報部、無責任ってもんでしょうよ。 作者はどっちかいうと第二次大戦の戦記ノンフィクションで有名な人のようで、そっちは5作くらい訳されているようだ。フィクションもかなりあるようだが、訳されたのこれだけ。デヴィッド・ニヴン主演ってあたりでピンとくるだろうけど、映画はスパイ・コメディのようだ。いや評者粋なニヴン好きなんだけどね。それこそジェームズ・ボンドの容姿のモデル、とされる俳優さんだし、スパイ映画(もちろん「カジノ・ロワイヤル」)とはご縁が深い人である。 |