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ブレス
ティム・ウィントン 出版月: 2013年12月 平均: 7.00点 書評数: 1件

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現代企画室
2013年12月

No.1 7点 猫サーカス 2018/09/22 16:07
舞台は1970年代のオーストラリア。サーフィンにとりつかれた少年パイクレットと親友のルーニーは伝説のサーファー、サンドーと知り合い、次々にビッグウェーブに挑戦していく。何より張り詰めた文体が快い。「そして一瞬波をかぶり、大量の水が勢いよく襲ってきて、僕は後方へ押し戻されるような感覚がした。回りにあるのは渦巻く蒸気だった。ほとばしりが最高潮に達した泡の源泉の中で、僕は身動きがとれなくなって、雑音の信じられない思いの中を漂い、それから、視界を奪う水煙のうねりに落ちていった」この後から3人に奇妙な連帯感と高揚が生まれていく。しかし、若者特有の無鉄砲さや気まぐれがひずみや軋轢をもたらし、さらにサンドーの妻がこれに絡んでくる。傷つき傷つけ、嫉妬と羨望と絶望がせめぎ合う青春を、喪失の時代と捉えた作品。だがここにあるのは絶望ではなく、かけがえのないきらめきなのだと思う。


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ティム・ウィントン
2013年12月
ブレス
平均:7.00 / 書評数:1