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[ 冒険/スリラー/スパイ小説 ]
シスターズ・ブラザーズ
パトリック・デウィット 出版月: 2014年12月 平均: 8.00点 書評数: 1件

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東京創元社
2014年12月

No.1 8点 猫サーカス 2017/12/16 14:38
ゴールドラッシュに沸く1850年代の米国を舞台とする、殺し屋の兄弟が主人公のウエスタン小説。物語の前半は、ヤマ師を殺しにサンフランシスコに向かう兄弟の道中を、後半はヤマ師と出会ってからの冒険を、弟のイーライの視点から描いている。人を食ったような乾いたユーモアの漂う語り口に、最初から最後まで魅了されっぱなしだった。兄のチャーリーは冷血で悪賢く、平然と人の命を奪う。弟のイーライは兄よりもお人よしで、夜の女や貧弱な馬に思いやりを示したりもする。この二人が出会う人々が、唖然とするほどの奇妙奇天烈な連中ばかり。血なまぐさい場面もどっさり出てくるが、イーライのどこか達観したおっとりとした語り口のせいか、それほどおどろおどろしくは感じられない。欲にとりつかれた右往左往する人々の姿は、滑稽でいて物悲しく哀愁が漂う。かたや、イーライにとって「二度と味わえないであろう最高に幸福な一瞬」の美しさは心にしみる。忘れがたい強烈な印象を残す作品。


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パトリック・デウィット
2014年12月
シスターズ・ブラザーズ
平均:8.00 / 書評数:1