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[ 本格 ]
忘却のパズル
別題「忘却の声」
アリス・ラプラント 出版月: 2014年06月 平均: 5.00点 書評数: 1件

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東京創元社
2014年06月

東京創元社
2017年08月

No.1 5点 nukkam 2017/09/23 12:43
(ネタバレなしです) アメリカのアリス・ラプラントが2011年に発表した小説デビュー作の本書はミステリーとして評価されただけでなく、医療や健康を扱った作品に与えられるウエルカム・ブック・プライズを受賞したことが特色でもあります。主人公のジェニファーを認知症患者に設定し、創元推理文庫版で550ページ近い物語は彼女の視点とあやふやな記憶の描写に終始します。どこかで例えば警察による捜査描写でも挿入されていれば読者は落ち着くことも可能だったでしょうが、ひたすらジェニファーと作品世界を共有することになるので頭の中がもやもや感で一杯になり謎解きを忘れてしまいそうになります。但し同じように「信用できない語り手」を扱った夢野久作の「ドグラ・マグラ」(1935年)や京極夏彦の「姑獲鳥の夏」(1994年」のようなしつこさやくどさをそれほど感じないのは、創元推理文庫版の巻末解説で述べられているようにひとつひとつの場面を短く切り上げているのが功を奏しているからだと思います。本格派推理小説としては論理的な推理による王道的な謎解きではなく、むしろ異色の結末で真相を明かしているのも本書のプロットでは有効に感じます。


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アリス・ラプラント
2014年06月
忘却のパズル
平均:5.00 / 書評数:1