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[ 社会派 ]
大三元殺人事件
藤村正太 出版月: 1979年05月 平均: 5.00点 書評数: 1件

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広済堂出版
1979年05月

No.1 5点 nukkam 2017/08/12 23:24
(ネタバレなしです) 藤村正太は麻雀(マージャン)を得意としており、若い時代には生活費をかせぐためにギャンブル麻雀に手を染めていたこともあったそうです。そんな彼は1970年代に「麻雀推理」を長編1冊、短編集4冊発表しました(共通のシリーズ主人公はいないようです)。今では麻雀を知らない人の方が多いと思いますが、1972年発表の唯一の長編である本書の第2章で「全ビジネスマンの70%がマージャン人口」と書いてあるのが時代の違いを感じますね。読む前は通俗スリラー系かと思ってましたが、実は公害問題が大きくなるほどビジネスチャンスになる公害防止企業を描いた社会派推理小説だったのに驚きました。主人公はプロ級の腕前をもつサラリーマンで、接待マージャンで取引拡大をねらいます。序盤はまるでミステリーらしくありませんが殺人事件が発生してから様相一変、主人公は営業活動と探偵活動に奔走します。裏をかく工作と思わせて裏の裏をかく工作だったなど意外と凝った謎解きがあるところは本格派推理小説風でもありますが、最初からストレートに疑われていたら犯人はどうするつもりだったのでしょうね(笑)。最後はアマチュア探偵の個人の努力ではいかんともしがたい「あまりにも大きな背後の壁」の存在がほのめかされてすっきりできない結末が待っています。


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