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[ ハードボイルド ] ハード・キャンディ 私立探偵バーク |
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アンドリュー・ヴァクス | 出版月: 1991年04月 | 平均: 7.00点 | 書評数: 1件 |
早川書房 1991年04月 |
早川書房 1995年10月 |
No.1 | 7点 | tider-tiger | 2016/11/30 17:22 |
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~アウトロー探偵バーク(※幼児虐待を心底憎む男 評者注)の許へ、幼なじみのキャンディから突然連絡が入った。怪しげな秘密教団に囚われた彼女の娘を助け出してくれという。超一流の売春婦になったキャンディの変貌ぶりに驚きつつも、バークは教団に赴き、娘の救出は成功したかに思えた。が、彼の前に恐怖の殺し屋ウェズリイが立ちはだかった。~ amazonより抜粋し注をつける
これは前作ブルーベルの続編だと考えていいと思われます。ブルーベル未読の方はいったん本を置いて、ブルーベルを先に手に取ることを強く薦めます。できればフラッド、ストレーガも。本作はシリーズの一つの節目となっております。 前作ではバークを悲しみのどん底に叩き落す事件が起こりましたが、その事件がまったく不要、まったくのくそ無駄だったことが判明。しかも、それが新たな災いをバークの元に招き寄せます。普通の小説なら悲しみに打ちひしがれたバークはなにもやる気がしなくて、となるのですが、本作ではバークは自分を見失い、恐怖を忘れ、死んでもいいやと無茶なことをするのです。これはバーク再生の物語ですが、シッド・ハレーの逆パターンというのがこの手の小説としてはユニークだと思いました。 前作ではとある理由から音なしマックスの出番がほとんどありませんでしたが、今作では活躍します。かっこいいねマックス。タイトルがいい。ラストもいい。 今までの作品よりもテンポ良く展開して無駄が少ない(これは一長一短あるが)。プロットそのものもこちらの方が面白いと思います。ブルーベルが名作というのに異論はありませんが、このハードキャンディも同じくらい好きな作品です。 ヴァクスの作品って哀しみはあっても陰惨なところはそんなにない印象。同じノワールとしてエルロイと比較されたりもするけど、読み味はまるで異なります。世界観が違うのです。ヴァクスの世界はハード&ヴァイオレンスではあるけれど、誤解を懼れずに言えばルパン三世的なほのぼのとしたものも感じてしまうのですよね。バークの仲間たちはそれぞれ特殊能力(得意分野)があり、なんか漫画的な人物設定(ヴァクスってエロを除けばライトノベルのファンに意外と受けるのではないかと思います)。ときにノワールというよりも冒険小説を読んでいるような気分にさせられます。私の読み方はおかしいのでしょうか。 ブルーベルのあと書きにある養老猛司氏のコメントには同感でした(この人がヴァクスのあと書きを担当するのはものすごく意外でした。ヴァクス大好きらしいです)。 『ヴァクスの作品は、きわめてアメリカ的だと言うべきであろう。まったく私的なグループがあって、いわば非合法な暮らしをしながら、正義の味方を演じる』 個人的な趣味の話になりますが、ジャニス・ジョプリンの以下の解釈には頷けるものがあります。 ~おれはカーステレオにカセットを押し込んだ。ジャニス・ジョプリンだ。混じりけなしの発情ホルモンがサンドペーパーで漉されて流れてくるみたいだ。自分の苦しみを受けいれて、それを愛にねじ曲げてほしいと男に訴えている。魂を鉄条網に投げつけて、さいの目に切り刻んでいるようだ。~ 最後に ジャンルですが、個人的にはハードボイルドと呼ぶのに抵抗のある作品です。が、基本的にはハードボイルドとされているシリーズなので登録もそのようにしました。 |