皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
[ 冒険/スリラー/スパイ小説 ] ホワイトハウスの冷たい殺人 エレノア・ルーズベルトシリーズ |
|||
---|---|---|---|
エリオット・ルーズベルト | 出版月: 1987年12月 | 平均: 5.00点 | 書評数: 1件 |
講談社 1987年12月 |
No.1 | 5点 | nukkam | 2016/11/15 18:54 |
---|---|---|---|
(ネタバレなしです) 米国のエリオット・ルーズベルト(1910-1990)は第32代大統領フランクリン・ルーズベルトの息子で、1984年から史上最も有名なファースト・レディ(大統領夫人)のエレノア・ルーズベルトを主人公にしたミステリーのシリーズを書きました。いや、これは正しい紹介ではありません。なぜなら今ではウィリアム・ハリントン(1931-2000)による代作であることが判明しているのですから。ちなみにハリントンはこのシリーズをエリオットの死後も書きつづけました。本書は1987年発表のシリーズ第4作です。イギリス首相チャーチルの訪米を受けているホワイトハウスの冷蔵室から死体が発見されるというとんでもない事件が起こります。やはりホワイトハウスを舞台にしたマーガレット・トルーマンの「ホワイトハウスの殺人」(1980年)(これもハリントが書いた可能性があるらしいですが)を意識して書かれたかはわかりませんが、読みやすさでは本書が格段に上回っています。リアリティーについては何とも言えませんが、ホワイトハウスの描写やルーズベルト夫妻やチャーチルの人物描写は読者の興味を大いに引くでしょう(謎解きに参加しないのが残念ですがチャーチルが実に個性的です)。捜査はドメニク・デコンチーニを中心としたシークレット・サービスが行い、エレノアはほとんど前面には出ません。謎解きはしているものの本格派推理小説というよりはスパイ・スリラーに分類すべき作品で、エレノアがある手掛かりに着目したのも推理というよりは昔の記憶の勝利の印象を受けました。フィクションとはいえホワイトハウスの警備体制があまりにも隙だらけだったのはちょっと信じ難いですけど。それにしてもマーガレット・トルーマンといいエリオット・ルーズベルトといい、どうして大統領ファミリーはゴーストライターを使ってまでミステリーを発表しようとしたんでしょうね? |