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[ クライム/倒叙 ] 熊と踊れ |
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アンデシュ・ルースルンド&ステファン・トゥンベリ | 出版月: 2016年09月 | 平均: 6.50点 | 書評数: 2件 |
早川書房 2016年09月 |
早川書房 2016年09月 |
No.2 | 6点 | 八二一 | 2020/06/02 20:01 |
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スリリングな銀行強盗を下地に父子、兄弟関係を見事に描いている。特に忌まわしくもその影を消し去ることのできない父親の存在が作品全体にいい味を出している。 |
No.1 | 7点 | びーじぇー | 2020/02/01 09:24 |
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暴力に対する憎しみ。暴力に絡めとられた生き方しかできない悲しみ。その交点を描き、興奮必至の力強いエンターテイメントとして結実させた小説。
武器庫襲撃から始まる兄弟たちの襲撃シーンは、躍動的なアクションと、小道具一つ一つの細部までこだわり抜いた描写のアンサンブルによって、リアリティと昂揚感に溢れた名場面となった。これに彼ら兄弟を執念で追い詰めようとする刑事ブロンクスのドラマも加わり、襲撃小説として申し分ない熱量を持った小説に仕上がっている。 だがこの小説の魅力はそれだけではない。物語にはレオ達兄弟の幼い日々のエピソードが挿入される。そこではなぜ彼らが大胆かつ暴力的な犯罪を起こすようになったのか、その起源を紐解くかのように家族の姿が映し出されていく。暴力は忌むべき存在である。だが一方で、暴力によってしか生を歩むことが出来なくなってしまった人間もいる。作者はそうした悲しい現実を克明に、そして真摯に捉えようとするのだ。 本作は1990年代にスウェーデンで起こった実際の事件をモデルにしている。作者の一人、ステファン・トゥンベリは犯人たちの実の兄弟であり、社会性と娯楽性に富んだ(エーヴェルト・グレーンス警部)シリーズの作者コンビの片割れであるアンデシュ・ルースルンドと、事件に近しい人物であるトゥンベリがコンビを組むことによって本作は迫真の犯罪小説として完成した。トリッキーな趣向で読ませる(グレーンス警部)シリーズとはまた違う、リアルな魅力を放つミステリを生み出す作家コンビの誕生だ。 |