皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
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[ 本格 ] 檻の中の人間 |
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ジョン・H・ヴァンス | 出版月: 1962年01月 | 平均: 6.00点 | 書評数: 1件 |
画像がありません。 早川書房 1962年01月 |
No.1 | 6点 | mini | 2016/06/22 09:56 |
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明後日24日に国書刊行会からジャック・ヴァンス「宇宙探偵マグナス・リドルフ」が刊行予定、宇宙を舞台にしたいわゆるSFミステリーのようだ
ジャック・ヴァンスはまた、昨年原書房から刊行されたエラリイ・クイーン名義のペーパーバックオリジナルからのセレクト「チェス・プレイヤーの密室」の代作も担当した 私的読書テーマ、”生誕100周年作家を漁る”、第5弾はジョン・ホルブリック・ヴァンスだ SF作家ジャック・ヴァンスはSF分野の重要な賞であるヒューゴー賞とネビュラ賞を受賞しており、SF分野の巨匠賞も受賞していて、名前知らなかったらもぐりのSFファンと言われかねないような大物作家である 私ははSF分野に全く疎いので知らなかったが、一部で過小評価されてきた作家との評も有るようで、軽快で洒落た文章を読むとそれも頷ける しかしミステリー分野ではやはりマイナーな存在なのは間違いない と言うのもジャック・ヴァンスが本名のジョン・H・ヴァンス名義で書いた「檻の中の人間」がMWA新人賞を受賞した後長編は1作も書かず沈黙してしまったからだ 実はその理由として、本人の死亡説が有るのだけれど、その辺の話はまた後ほど この「檻の中の人間」が新人賞を受賞したのが1961年、丁度スパイ小説全盛期の入り口に位置しており、背景にフランスの植民地だった北西アフリカの政治情勢を舞台にしており、読者によってはスパイ小説に分類すると思う 私もジャンル投票は迷ったのだけれども、内容的にはスパイ小説的要素は背景だけで、どちらかと言えば異国のエキゾチズム溢れる本格派といった感じにに近いと思って本格に投票した 今で思うと、E・クイーンの代作もした事が有るというのも納得である 惜しむらくはねえ、広大なサハラ砂漠を考えると後半にある物体が発見される件などは順調に上手く行き過ぎな感も有るんだけど(他の作家ならもう少し苦労してから発見させるとか)、まぁ軽いタッチが魅力のこの作家らしいのかもね 巻末の解説によると、ジャック・ヴァンスは17ものペンネームを駆使して書きまくったらしい、その中にはヘンリイ・カットナーやルイス・パジェットも含まれていて、すっぱ抜いたのはあのアントニイ・バウチャーとの事だ しかしカットナーの没年は1958年となっているので同一人物説は本当かなぁ ただ重鎮評論家バウチャーが言うのなら信頼に足るのかも知れないし、実際にカットナーの軽快な文章はジョン・H・ヴァンスの文章にも通ずるものが有る さらにカットナーの作風にはミステリー的なセンスが濃厚で、探せばミステリー小説として読める作も有るんじゃないかなぁ、どこかの出版社やってみませんか |