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[ 本格 ] 鼻かけ三重殺人事件 ピーター・キントシリーズ 別冊宝石79号掲載 |
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ヒュー・オースチン | 出版月: 不明 | 平均: 4.00点 | 書評数: 1件 |
No.1 | 4点 | nukkam | 2016/05/28 23:19 |
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(ネタバレなしです) 米国のヒュー・オースチン(生没年不詳)は本格派黄金時代の1930年代から1940年代に活躍した作家です。1935年発表のピーター・キント(Quintと綴るようです)シリーズ第2作で英語原題がずばり「Murder in Triplicate」の本書は、鼻をそぎ落とされて殺される事件が起き(残虐描写はありません)、警察が出動したにもかかわらず大胆に第二、第三の殺人が続くというプロットです(「鼻かけ」の「かけ」は「欠け」のことですか!)。第2章の「原作者の言葉」で「全ての事実証拠を読者に明示する」、「専門的知識を必要としない」、「共犯を使用しない」など五つの誓言が述べられ、さらに第36章の終わりには「読者への挑戦状」が挿入されるなど同時代のエラリー・クイーンを意識したパズル・ストーリーです。容疑者数は多くはありませんが動機、機会、手段の全ての要件で犯行可能な人物が絞り込めずキント係長は苦悩します。人物の個性が描かれず物語性もほとんどない全38章ですが、各章は非常に短くクイーンの国名シリーズよりは読みやすいと思います。しかしフェアプレーを強調してるがゆえにこの真相では釈然としない読者も多いのではないでしょうか。 |