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[ 本格 ]
ライラック・タイムの死
アボット夫妻シリーズ
フランシス・クレイン 出版月: 1958年01月 平均: 4.00点 書評数: 1件

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早川書房
1958年01月

No.1 4点 nukkam 2016/05/27 20:35
(ネタバレなしです) 米国のフランシス・クレイン(1896-1981)は1940年代から1960年代にかけて夫パットを探偵役、妻ジーンを語り手役にしたアボット夫妻シリーズを中心に30作ほどの本格派推理小説を書いた女性作家です(ノース夫妻シリーズで有名なロックリッジ夫妻のライヴァル的存在だったのですね)。アボット夫妻シリーズの特徴は作品タイトルに色彩或いはそれをイメージさせる単語(花とか宝石とか)を取り入れ、また作品舞台も米国のあちこちだけでなく外国も登場させたりとトラベル・ミステリー要素があるなど特に女性読者を意識したようなところがあります。本書は1955年発表のシリーズ第19作で、ライラックの季節を迎えたケンタッキーを舞台にしています。本書を読む限りではアボット夫妻は仲が悪いというほどではないにしろ、感情的になりやすいジーンと冷静すぎるパットの間には「おしどり探偵」の雰囲気は感じられませんでした。ジーンがトラブルに見舞われた時に少しは心配する素振りを見せるだけでもだいぶ違うんですけどね。真相解明は唐突で決定力不足、謎解きに期待する読者にはあまりお勧めできませんがストーリーはテンポよく進み、サスペンスも程よいです。ハヤカワポケットブック版は半世紀も前の古い翻訳で読みにくいですが、翻訳に恵まれれば個性的な登場人物や洗練された文章をもっと楽しめたと思います。


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フランシス・クレイン
1958年01月
ライラック・タイムの死
平均:4.00 / 書評数:1