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[ 冒険/スリラー/スパイ小説 ]
悪魔の涙
ジェフリー・ディーヴァー 出版月: 2000年09月 平均: 6.25点 書評数: 4件

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文藝春秋
2000年09月

No.4 5点 あびびび 2014/04/05 18:26
おそらく真の犯人はケネディ市長の○○だろう…と予想していたが、これはそのために用意されていた人物で、うまくだまされた。相変わらずのどんでん返し連発で、それにはもう慣れてしまったが、しかし銃撃犯はあまりにも不死身すぎる。

街を歩いても目立たない、誰も振り返らない男…と言う設定だが、あれだけ派手に人を殺し、FBIに包囲されても俊敏に脱出するなんて、とてもイメージできなかった。

No.3 6点 E-BANKER 2012/03/10 00:41
文書鑑定士パーカー・キンケイドを探偵役に据えた唯一の長編。
シリーズ探偵のリンカーン・ライムはカメオ出演に留まるが、それなりの存在感あり。

~世紀末の大晦日午前9時、ワシントンの地下鉄駅で乱射事件が発生。間もなく市長宛てに2000万ドルを要求する脅迫状が届く。
正午までに「市の身代金」を支払わなければ、午後4時、午後8時、そして午前0時に無差別殺人を繰り返すとあった。手掛かりは手書きの脅迫状だけ・・・FBIは筆跡鑑定の第一人者であるパーカー・キンケイドに出動を要請した~

まずまず水準級の面白さ、というのが正直な感想。
プロット自体はこの手の作品によくある感じがして、あまり新鮮味があるものではない。
ただ、「文書鑑定士」という特異なプロフェッショナルを主役に据えた当たりは、さすがにベストセラー作家という気はした。
タイトルにある「悪魔の涙」というのが、最後に効いてくるのがニクイ。

結構な分量ですが、本作の肝は第4章以降。
殺人鬼の死亡で事件が収束したかに思えた後、FBIの施設内で発生する殺人事件。そして判明する意外な犯人。
これが噂の「ドンデン返し」かぁ・・・
ただ、この真犯人が「肩書き」を偽ってFBIに近づいたことになっているのだが、もしそうだとしたらFBIって相当緩い諜報機関だぞ!
プロットにはそんなに影響はないけど、どうにもリアリティに欠けるように思えて気になった。

正直ジェットコースター・サスペンスというほどのスピード感はなかったが、良質なサスペンスという評価は特に否定しない。
(パーカー・キンケイドの人物造形にも深みがあり、好感の持てる存在)

No.2 7点 Tetchy 2011/07/10 22:19
今回はノンシリーズの1作だが、嬉しいことにリンカーン・ライムが脇役で登場する。シーンは短いがその後の捜査に関する手掛かりを提示するので友情出演といった趣がある。

ディーヴァーはよく息をつかせぬスピーディな展開とどんでん返しが専売特許のように巷間では賞賛されているが実はそれだけではない。彼の精緻を極める取材力が登場人物たちを実在する人物であるかのごとく、読者の眼前に浮かび上がらせるからだ。彼の作品に登場するFBI、市警の面々の捜査と彼らが交わす会話のディテールはまさしくその道のプロフェッショナルが放つ言葉そのものだ。だからこそ読者は普段垣間見れない世界を彼の作品を通じて教えられ、実際の捜査がものすごく高度な知的労働であることを思い知らされる。
さらに挙げるならば組み合わせの妙。前述したように本書では世界一の犯罪学者と称されるリンカーン・ライムも登場するが、彼は脇役に過ぎない。あくまで主役は文書検査を生業とするパーカー・キンケイドだ。思うに今回のプロットはライムシリーズとしても全然損色なく最上のエンタテインメントが作れただろう。しかしあえて作者は文書検査士という職業の者を選んだ。この普段我々が接することのない職業の崇高さ、高度な技術と知識を要することを上手く物語に溶け込ませることで彼が主役であるべきだと説得している。大晦日のワシントンを襲った無札別殺人テロに対抗する相手が文書検査士なんて発想はなかなか、いやめったに浮かばないだろう。この一見ミスマッチといえる組み合わせを用いながら、さも彼が捜査に加わって中心人物となることが必然であるかのように見せる文章運びの巧みさ。これらがディーヴァーを現代アメリカミステリの第一人者として知らしめているのだ。

しかしとはいってもディーヴァーを語るにどんでん返しを抜きには語れない。今回も大晦日が明ける夜の0時までの殺人予告というタイムリミットサスペンスを展開しながら、どんでん返しが待っていた。
真犯人が独白する一連の事件の背後に隠れた計画は、どうにもこじつけのように感じてしまった。確かに捜査班の末席にいながら、捜査官を誘導する発言を行っていた場面はあるものの、どうも後で挿入されたエピソードのように思えてならない。

作品の質としては悪くはない。寧ろ標準以上だろう。先に述べたように直筆の脅迫状を掲載してそれについて主人公パーカーに分析させるなど、読者の眼前で実際のFBIの捜査が繰り広げられているようなリアリティをもたらせている。だからこそ逆に本書はストレートに終息する方がよかったように思う。どんでん返しが逆に仇になってしまった。また既にディーヴァーに高いハードルを課した自分に気付かされた一冊でもあった。

No.1 7点 kanamori 2010/09/16 19:24
首都ワシントンを人質にしたタイムリミット・サスペンス。主人公が筆跡鑑定士というヒネリがはいっていても、基本的にリンカーン・ライムシリーズと同じジェットコースター・サスペンスで、最後の最後までどんでん返しで読者を翻弄してくれてます。
ライムやアメリア・サックスの特別出演ありの読者サービスというか”何でもサーガ症候群”は、コナリーともども米国人気作家の流行りなんだろうか?


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