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[ サスペンス ]
夫の骨
矢樹純 出版月: 2019年04月 平均: 7.00点 書評数: 2件

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祥伝社
2019年04月

No.2 6点 メルカトル 2019/10/16 22:47
昨年、夫の孝之が事故死した。まるで二年前に他界した義母佳子の魂の緒に搦め捕られたように。血縁のない母を「佳子さん」と呼び、他人行儀な態度を崩さなかった夫。その遺品を整理するうち、私は小さな桐箱の中に乳児の骨を見つける。夫の死は本当に事故だったのか、その骨は誰の子のものなのか。猜疑心に囚われた私は…(『夫の骨』)。家族の“軋み”を鋭く捉えた九編。
『BOOK』データベースより。

サスペンスとして登録されていますが、もう本格ミステリで良いんじゃないでしょうか。何しろ『イニシエーションラブ』が本格扱いされている訳ですから、本作は超本格ってことになりませんかね。
どれもこれも○○を前提として書かれているので、その意味では確かになるほどと思いますが、どうも構成や文章に問題がありそうな気がしますね。時系列がバラバラでいきなり場面が切り替わり、一瞬?となる個所が幾つもありました。登場人物が限られている中で、しかも短編なのにこれはどうかと思います。そして本職ではないにしても、プロの作家としてこの表現はどうなのとか、語彙のチョイスがちょっと違うのではとか、単に私には文体が合わなかっただけなのかも知れませんが。折角のアイディアの良さが半減しているのでは、と思います。

まあそうは言っても、多分老若男女広く受け入れられる作品なのは間違いないでしょう。私のイチオシは表題作。ミスリードはミエミエですが、意外すぎる結末に驚きを隠せません。これは想定外でしたね。他の作品も粒揃いですが、確かに一気読みすると混乱するかもしれません。

No.1 8点 虫暮部 2019/07/09 10:44
 短編集としての欠点は、作風が一貫し過ぎていること。“家族”が主題。事件を探偵が解くのではなく、情報を制限し“読者に対して”謎を演出する形式。手堅く普遍的な文体や人物設定(“嫌な感じ”の匙加減が絶妙)……ゆえに非一気読み推奨、一話ずつばらして賞味するが吉。
 収録作品はどれもレヴェルが高くて正直びっくりした。一編選ぶなら「柔らかな背」(人殺しの場面が愉快)。
 因みにかなり毛色は違うが漫画原作者としての仕事もなかなか面白い。


矢樹純
2020年10月
妻は忘れない
平均:8.00 / 書評数:1
2019年04月
夫の骨
平均:7.00 / 書評数:2
2017年09月
がらくた少女と人喰い煙突
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2012年08月
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