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ミステリの祭典

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ホテル1222
ハンネ・ヴィルヘルムセン シリーズ

作家 アンネ・ホルト
出版日2015年09月
平均点6.00点
書評数2人

No.2 6点 YMY
(2024/03/25 22:25登録)
列車が脱線事故を起こし、乗客たちは近くのホテルに避難する。ところが、そこで殺人事件が発生した。ホテルに集まった二百人近い人間の中に潜む真犯人は。
荒れ狂う雪嵐、相次ぐ死者、反抗的な少年、ヒステリックな評論家、ホテル最上階にいる謎の客。混迷を極める事態に、車椅子の元警部ハンネ・ヴィルヘルムセンが直面を強いられる。謎解きそのものより、ノルウェーの社会の縮図のような人間模様と、彼らを襲う極限状況の迫力が印象的。

No.1 6点 nukkam
(2015/10/29 11:29登録)
(ネタバレなしです) 2007年発表のハンネ・ヴィルヘルムセンシリーズ第8作ですが、それまでのシリーズ作品と比べて色々と新たな試みの見られる意欲作だそうです。ハンネが警察を辞職していること、両足を失った身体障害者となっていること、そしてハンネを語り手にした1人称形式にしていることなどがシリーズ異色作の所以のようです。アガサ・クリスティーの「オリエント急行の殺人」(1934年)と「そして誰もいなくなった」(1939年)を意識した作品ではありますが、吹雪の山荘ならぬ吹雪のホテルに100人を超す遭難者を集め、殺人事件の謎解きのみならず極限状態での緊張感もたっぷりと織り込んだ独特の世界を築き上げることに成功しています。ハンネは正式の捜査官でない上に積極的に動ける状態でないので謎解きがなかなか進展しないもどかしさがありますがそれも作者の計算通りかもしれません。最後は容疑者が一堂に集まってハンネの推理説明で犯人が指摘されるという本格派推理小説ならではの決着が見られます。ただその後の最終章「風力階級12」はどうにもすっきりせず、蛇足のように感じられましたが。

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