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ミステリの祭典

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掲載禁止

作家 長江俊和
出版日2015年07月
平均点7.00点
書評数3人

No.3 7点 ミステリーオタク
(2023/06/22 21:33登録)
 テレビや映画関係の仕事も幅広く手掛けているという作者の5話からなる短編集。

《原罪SHOW》
どんな話を書いてくるかと思えばこういう系か。刺激的ではあるが、あまり好きではないし、バカ過ぎる気がする。また、最後の取って付けたような「トリック」・・・これは途中、それを完全に否定する記述が何度かあったと思うが。

《マンションサイコ》
 序章の不可解な行動は一体・・・と思ったら何と折原張りの奇行。というか折原氏へのオマージュだね、この作品は。ただ本作も前作ほどではないがアンフェアに近い部分があると思う。

《杜の囚人》
 途中で漠然とではあるが話の方向性は見えてくる。しかし最後は・・・。
 何となく「世にも奇妙な物語」に出てきそうな・・・いや、無理だ。

《斯くして、完全犯罪は遂行された》
 これも随分凝った話だが、そう簡単にそこまでするほど〇〇されるものだろうか。まぁ正常を著しく逸脱しているからこそのミステリなのだろうが。

《掲載禁止》
 うーん、何という展開。ちょっと腑に落ちないところもあるが、やっぱこの人、ミステリ作家としては折原系なんだろうね。


 本書の作品の大半は異様な「思想」や「宗教」に関わるものだが、これらに対する自分の個人的な印象を一言でいうと「不気味」。

No.2 7点 まさむね
(2023/05/02 23:45登録)
 何かが起こりそうな不穏な展開の中での反転を味わえる短編集。次々とページをめくらされましたね。
①原罪SHOW:死の瞬間を目撃できるツアーを潜入取材するジャーナリスト。グイグイ引っ張られる展開で最後の捻りに感心。
②マンションサイコ:元恋人のマンションの天井裏で暮らす女。本質の一部が①と被っている点で割り損か。
③杜の囚人:ある別荘に引っ越してきた兄妹。途中までは「ありがち」と思っていたが…。
④斯くして、完全犯罪は遂行された:大学時代の恋人と15年ぶりに同棲することとなった男。本質が③と被っていて、想定の範囲内かも。
⑤掲載禁止:二転三転。少しわかりにくい面も。

No.1 7点 メルカトル
(2015/08/31 21:36登録)
なかなかの力作ぞろいの短編集、十分楽しめた。
殺人や自殺など、人の死の瞬間を目の当たりにできるバスツアー、別れた恋人に未練を持つ女が、ひそかに作っていた男のマンションの合鍵で留守中に侵入し、それがやがてエスカレートしていく物語など、相変わらずいかがわしさ満載の作品ばかりである。そうしたちょっと風変わりなストーリーが好きな読者には堪らない短編ばかりなので、嗜好が合えば嵌ること請け合いである。
臨場感、緊迫感も申し分なく、多分誰も読まないと思うけど、結構お薦め作品だと個人的には思っている。いずれもちょっとした反転を味わえるし。

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