電話の声 プリーストリー博士&ジミー・ワグホーン警視 |
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作家 | ジョン・ロード |
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出版日 | 1959年01月 |
平均点 | 4.50点 |
書評数 | 2人 |
No.2 | 6点 | 人並由真 | |
(2021/10/07 15:32登録) (ネタバレなし) その年の1月の英国。ある夜、地方のミンチングトン市で、代理販売業者ウィリアム・リッジウェルの妻ジュリアが、夫の留守中に自宅で何者かに惨殺される。事件の前の晩、リッジウェルの行きつけの地元の会合所「駅馬車ホテル」に「R・M・デイムハフ」なる未知の人物から、その場にいないリッジウェル宛に電話がかかっていた。電話の内容は、少し離れた町で翌晩仕事の相談をしたいので、リッジウェルに来てほしいというものだった。電話に出たホテルの主人トム・グロソップを介して、デイムハフからのメッセージを受け取ったリッジウェルは出かけていくが、実際には指示された場所も人物も実在せず、その夫の不在中にジュリアは殺されたようだった。謎の人物「デイムハフ」とは何者か? 彼が犯人か? いや、あるいは夫のリッジウェルが巧妙な偽装工作をしながら妻を殺したのか? スコットランドヤードのジェームズ(ジミイ)・ワグホーン警視は、名探偵プリーストリ博士の後見を受けながら捜査を続けるが。 1948年の英国作品。 nukkamさんのレビューを先に拝見して、ワグホーン警視の方がメイン探偵ということは聞き及んでいたが、まんまその通りであった。ワグホーンの仕事ぶりは、クロフツのフレンチ警部の定番の捜査、あれに一番近い。 それでまあ確かに間違いなく、地味な謎解き捜査ミステリなんだけど、個人的には結構楽しめた。途中で30分ほど仮眠を取ったが、一晩で読破することができた程度には面白い。 何より、ワグホーンやワトスン役の地元警察の捜査主任ケンワース、さらにはロンドン在住のプリーストリ博士とその仲間たち全員がもっぱら捜査のことにしか目を向けず、とにかく話がブレるスキがない。 評者が読んだロードの作品って別名義のものを含めてこれで6冊目だけど、この作者は一時期からそういう硬派? なところがあって、そこがまた独特の味わいで楽しめる。 ただし謎解きミステリとしては割と最後の方で初めてある情報が明かされ、そこで、ああ、この人物が犯人だなと察しがついて正解であった。作者的にもたぶん、ややチョンボは自覚した作りではあろう。しかしこの犯人のキャラクター、いろいろ思うところはあった。 個人的にはロードらしい面白さは満喫できた佳作。まあ若い頃だったら、絶対に面白くは思わなかったであろう種類の作品だが(あくまで個人の見解ですが)。 |
No.1 | 3点 | nukkam | |
(2015/07/12 07:46登録) (ネタバレなしです) 1948年発表のプリーストリー博士シリーズ第47作の本格派推理小説。しかしプリーストリー博士は完全に脇役扱いで、本書の名探偵役はジミー・ワグホーン警視です(世界推理小説全集版ではジミイと表記)。犯罪研究家でもあったロードならではでしょうか、本書は実際の犯罪を下敷きにした作品とのことです。リアリティーを重視し過ぎたためかあまりにも地味なストーリーになってしまい、相変わらず個性のない人物描写と相まって退屈の方が先立ってしまったような気がします。ジミーが犯人をびしっと名指しした場面ではさすがに引き締まりますが、よく読むと推理よりもはったりの方が多いみたいですね。まあそれも名探偵の条件かもしれませんけど(笑)。 |