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ミステリの祭典

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人魚と金魚鉢
聴き屋シリーズ

作家 市井豊
出版日2015年02月
平均点5.33点
書評数3人

No.3 7点 青い車
(2019/07/31 06:48登録)
 ロジックの面白さという点では前作に及ばないものの、季節感あるイベントと、生き生きとしたキャラクター、小気味いい会話はやはり楽しめます。『愚者は春に隠れる』がシリーズの特長が最大限に出ているベストだと感じました。表題作も読後感の良さにほっとする良作で、ガチガチの本格ファンには受けないかもしれませんが、個人的にはこの調子でシリーズが続くことを期待したいです。

No.2 4点 まさむね
(2015/07/08 22:58登録)
 「聴き屋」シリーズの続編短編集。
 独特の雰囲気が溢れまくる「先輩」を始めとする個々のキャラ設定、軽快な語り口は前作同様で、この点は楽しめたと言えます。
 一方で、ロジックという観点では、前作に及ばないかなぁ…と。「驚き」という面でもちょっと弱い。
 表題作の「人魚と金魚鉢」や「恋の仮病」辺りは嫌いなタイプではなく、それだけに結構辛目な採点だと自分でも思うのですが、次回作に期待して、敢えてこの点数に。

No.1 5点 kanamori
(2015/03/21 10:11登録)
生まれながらの”聴き屋”体質の大学生「ぼく」こと柏木と、文芸サークル”ザ・フール”の個性的な面々が繰り広げる連作ミステリの第2弾。もともとド派手なトリックは出てこないシリーズですが、今回はとくに”日常の謎”に徹した構成になっています。

「青鬼の涙」では、法事で家族とともに帰省した柏木が、小学生時代に目撃した亡き祖父の”ある行為”を回想し謎解く。些細なミステリながら雰囲気のいい異色作。
つぎの、聴き屋体質ゆえに真実に気付かなかったという「恋の仮病」は、真相が早々に見えてしまった。
「世迷い子と」では、テレビ番組の撮影中に子供タレントが突如恐慌に陥った理由が謎として提示される。手掛かりが十分ではないが真相には意外性がある。
ザ・フールのメンバーが公園で隠れんぼをする「愚者は春に隠れる」の、謎解きは大した事ないものの、ネガティブなユーレイ部員”先輩”のキャラが全開で楽しめる。
最後の「人魚と金魚鉢」では、学生選抜コンサートの会場を泡まみれにした犯人とその動機を謎解く。これも途中でなんとなく真相が見えるが、爽やかな気持ちにさせてくれる読後感のいい作品。

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