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ミステリの祭典

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誓約

作家 薬丸岳
出版日2015年03月
平均点6.00点
書評数3人

No.3 6点 ぷちレコード
(2023/05/30 23:00登録)
バーテンダーが、ある老人と交わした約束の実行を迫られる話。その約束とは?実行とは?
殺人事件が起きて、濡れ衣を着せられて、謎を解いていくと意外な真犯人がいるというミステリではあるけれど、その興趣以上に少年の犯罪の告発と更生という問題を正面から捉えて、読者の善悪観を揺るがせにかかる。
ラストはいつものように温かいけれど、必ずしもすっきりしたものではない。非情な現実と長く厳しい人生を見据えているからだが、それでも作者の小説らしく、人の幸福と良き魂を願う思いは本作でも貫かれていて思わず落涙する人もいるでしょう。

No.2 6点 zuso
(2023/02/01 22:28登録)
過去を消したつもりの男がもう一度、自分の過去の所業と向き合い、罪を見つめ償うことの重さをかみしめる小説。
殺人事件が起きて濡れ衣を着せられて、謎を解いていくと意外な真犯人がいるというミステリではあるけれど、その興趣以上に少年犯罪の告発と更生という問題を正面から捉えて、読者の善悪感をゆるがせにかかる。
ラストは、いつものように温かいけれど、必ずしもすっきりしたものではない。非情な現実と長く厳しい人生を見据えているからだが、それでも作者の小説らしく、人の幸福と良き魂を願う思いは今回も貫かれている。悪くない仕上がり。

No.1 6点 猫サーカス
(2017/12/04 18:11登録)
罪を犯した少年時代を隠して生きる男に、過去の亡霊が襲いかかる物語。男は殺人事件の濡れ衣を着せられて逃走しながら、次第に真相に迫り、予想だにしなかった真犯人と驚きの動機を知ることになる。テーマは少年を取り巻く環境の苛酷さと心の弱さ、罪の償いと許しであり、最終的には人の善性に対する信頼と愛がうたいあげられて、胸を熱くする。一歩間違うと人生譚に堕しかねないが、作者は非常な現実を見据えているから、苦みのきいた温かさが生まれている。

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