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ミステリの祭典

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天久鷹央の推理カルテⅡ ファントムの病棟
天久鷹央の推理カルテシリーズ

作家 知念実希人
出版日2015年02月
平均点6.00点
書評数3人

No.3 6点 たかだい
(2024/12/19 02:36登録)
以前のレビューで、殺人事件を扱った「事件カルテ」と比べてあまり好みではないと言った「推理カルテ」の2冊目にあたる本書
毒を盛られたと訴えるトラック運転手、病棟を徘徊する吸血鬼の謎、病室に降臨した天使といった不思議な現象に対して、本シリーズの探偵役「天久鷹央」がズバリと診断を下します
相変わらず、病気とは一見関係なさそうな謎から驚きの病巣が指摘される辺り、シリーズ独特の面白みが感じられる
それに加えて本書の場合、性格というか人間性に難がある鷹央の意外な弱さ、人間臭さが描かれている点でもポイントが高いと思っています
あまり好みではない「推理カルテ」の中では例外的に好印象な1冊です

No.2 6点 まさむね
(2023/10/20 22:25登録)
 シリーズの続編で、2つの短編のあとに中編が続く構成。
 2つの短編の「謎」自体は、いずれも疾病や医学の知識がないと解きようがないのですが、反転などの工夫は施されていて、印象は悪くなかったですね。
 中編については、医学の知識の有無は別として、ストーリーの流れや結末を容易に察することができますが、終盤のあるシーンには涙腺が緩みました。ベタと言えばベタ。でもこういう物語って、やっぱり沁みる。

No.1 6点 メルカトル
(2015/03/11 21:54登録)
前作に続き、天医会総合病院副院長にして、統括診断部部長天久鷹央が活躍する、連作中短編集。二短編と一中編という構成だが、いずれも舞台は天医会病院であり、事件は殺人事件というわけではない。どれも医療が関係した、不可解なものだ。
鷹央のキャラは相変わらず際立っているが、残念ながら今回は他の人物の影が薄い。それはいいが、本作の最大の欠点は医学に関する専門知識がないと、いずれの謎も解けないことだろう。医者や看護師でなければ、謎解きに参加できないのは、ややフェアさに欠けるとの意見も上がるかもしれない。
だが、そんな欠点を補うだけの面白さを持った作品集ではないかと私は思う。特に最終話はかなり切ない。そんな要素がミステリに不可欠とは言わないが、一篇の小説として魅力的だとは言えると思う。

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