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ミステリの祭典

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からくり探偵・百栗柿三郎

作家 伽古屋圭市
出版日2015年01月
平均点6.00点
書評数3人

No.3 6点 makomako
(2015/10/28 20:48登録)
 謎解け乙女がなかなか面白かったので、この作品も読んでみました。これも大正時代の探偵話。連作の間にちょっとした文章が添えられてあります。「謎解け」でもこういった趣向で、単なる短編集だけでなく長編としても成り立つような二重構造となっています。
 この作家は侮れない。冗談でやっていると思ったところが、実はちゃんとした理由があったことが最後に判明して、やっぱり背負い投げを食らいました。
 

No.2 6点 kanamori
(2015/03/04 22:10登録)
”よろず探偵、人探しも承り”--------浅草の町はずれにある百栗(ももくり)庵の主で、キテレツ発明家の柿三郎が探偵稼業にも踏み出した。招き猫型ロボットの”お玉さん”を連れ、女中の千代を助手にして4つの不可解な事件の謎解きに挑む---------。

帝都・東京市を舞台にした大正ロマン×本格ミステリの第2弾。
語り手の千代との出会いの第1話は、科学者の邸宅で博士が殺された事件。標本の人造人間を犯人と見せかけた理由を基点に、柿三郎が真犯人を特定するロジック展開がなかなか秀逸。
第2話では、男と女のバラバラ死体が連続して発見される。事件の裏に隠された秘密はある意味現代的なところもあって、ホワイダニットの真相には驚かされる。
第3話では、幻術師の道場に入ったままの男の捜索を依頼される。これは、ある程度構図が見えやすい。
最終第4話は、二重殺人の惨劇を目撃しながら行方不明になった少女を捜索する話。定番とはいえ、物語当初から張られていた伏線を回収しつつ、連作を貫く”からくり”によって最後にサプライズが炸裂する。
個別的には、ロジカルなフーダニットの第1話と、奇想風トリックの第2話を推すが、全体的には、キャラクターや爽やかなラストなど読み心地がいい作風を一番に評価したい。

No.1 6点 メルカトル
(2015/02/05 22:26登録)
大正ミステリ第二弾。発明家にして名探偵の、百栗柿三郎と、最初の依頼人でありその後助手となる千代、さらに招き猫型ロボットのお玉さんの二人と一匹の活躍を描く、連作短編集。
4篇からなる短編集だが、どれもなかなかよく練られており、面白い。特に第二話は二つのバラバラ死体を扱ったものだが、これまでのこのジャンルになかったからくりが用意されていて、かなりの高評価。
各作品の間に幕間として、大震災後の様子が差し挟まれているが、これが連作と有機的に繋がってきて、最後に見事に着地を決めている。まあ使い古された手だが、最終章でそれまでの違和感や謎が明らかになり、しかも後味の良い結末を迎えるようにうまくまとめられている。文章も手慣れたもので、軽妙な作風なりに印象深い作品となっていると思う。

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