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ミステリの祭典

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どきどきフェノメノン

作家 森博嗣
出版日2005年04月
平均点3.67点
書評数3人

No.3 2点 Tetchy
(2021/08/01 00:38登録)
リケジョの恋の仕方教えます!
そんなキャッチフレーズが似合いそうな森博嗣流理系女子ラヴ・コメディーが本書。しかしここでいう「恋の仕方」とは恋の指南書という意味ではなく、理系女子はこんな感じに恋をしているのだと森氏独特の文体と思考で語られる。

窪居佳那は24歳のとある大学の博士課程の1年。別に男は欲しいと思わないのだが、容姿がいいのか、研究室のM1の後輩鷹野史哉と水谷浩樹の2人は何かと彼女に絡んでくる。それぞれアプローチの仕方は違うのだが。

そんなリケジョの日常と恋、そして思考と妄想が語られる本書の内容は彼女の日常で起きるちょっとした事件や出来事が取り留めもなく起こって進む。
また恋の話は主人公の窪居佳那だけでない。彼女の友人藤木美保の恋バナも語られるのだ。
合コンで知り合った猪俣と矢崎という男性2人のアプローチを後輩の水谷を使って逃れる件にその事件をきっかけに美保が水谷に好意を抱き、剣道の相手をさせて、情熱的なラヴシーンに発展したりする―このシーンは傑作!―。

また森氏は大学をよく舞台にしているが、私自身も理系学生であったので所々にノスタルジイを感じてしまった。特に夜の研究室に美保を伴って訪れて、そこで佳那と美保、そして後輩の水谷と鷹野の4人で酒宴が催されるシーンなどは、自分も学祭で同じようなことがあっただけに胸に迫るものがあった。

と読んでいて覚えた既視感があった。
これはもしかして森博嗣版ちびまる子ちゃんではないか?

そして読み進むにつれてこの窪居佳那という女性を私は次第に嫌いになっていった。
なぜなら彼女は自分勝手で大した能力もないのに先輩面をし、そして非常に鈍感である。

彼女は自分の身に起きた事象について沈思黙考するのだが、これが非常に長い。長すぎる。
この非常に長い思考は例えば『東京大学物語』の主人公村上直樹のそれを彷彿とさせるが、森氏独特のダジャレがふんだんに盛り込まれており、単なる作者の悪乗りにしか思えない―中には「鯉の病」といった爆笑ネタもあったが―。

そして彼女が考える謎は一般人である我々にしてみれば簡単に解る事なのに、恋愛慣れ、世間ずれしていない彼女はその当たり前のことが解らないため、延々と思考し続けるのだ。読者はとうに答えが解っているのに、この窪居佳那という鈍感女のしょうもなくも不必要なまでに長い思考に付き合わされるもどかしさを何度も何度も強いられる。
特に志保と水谷の剣道シーンに隠された真相は正直終ってからすぐに解るのに、延々「水谷はどうして研究室に自分より早く戻ってくることができたか」と最後まで引っ張る。

どうでもいい女の、どうでもいい勘違いとどうでもいい恋バナを読まされた。そんな読後感が残る作品だった。
この頃の森氏は本当に何を書いても許されたのだなぁ。

No.2 4点 測量ボ-イ
(2019/03/22 19:41登録)
職場の人にもらった本シリ-ズ、第2弾!
まあこれはミステリではなく、いわゆる一つの(?)ラブコメディ
ですね。そう割り切って読めば特に問題なし。

採点はちょっと辛いかな?
内容としては武蔵坊の存在意義がよくわかりませんでした。

No.1 5点 ∠渉
(2015/01/18 21:20登録)
これも森博嗣が書かなかったらおそらく読まなかったであろう類の作品。なんてったってラブコメである。殺人事件も起きなければ万引きさえない、ミステリィらしいミステリィも無い、ただひたすらドキドキあるのみのあのラブコメである。はじめてのラブコメ体験におじさんもうタジタジである。まぁでもそんなに悪くはなかった(笑)。気持ち悪いおじさんでごめんなさい。

ストーリィはといえば、S&MとVシリーズからミステリィを引いた感じのものになっている。こんな説明でこのサイトの人の興味をそそるとは思えないが・・・!!

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