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ミステリの祭典

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禁忌

作家 フェルディナント・フォン・シーラッハ
出版日2015年01月
平均点5.33点
書評数3人

No.3 6点 バード
(2022/02/19 11:16登録)
主人公の色盲?設定が鍵かと予想していたがそうではないよな?事件の表面的な構造は明確だが肝心なところは今一つ分からず消化不良。非常にマイルドにではあるが『ドグラ・マグラ』風味を感じた。文章の雰囲気などは気に入っただけに、もう少し自分に読解力があればと残念になる。点数は純文学的な要素を楽しめたことによる評価です。

No.2 6点 小原庄助
(2017/09/25 10:02登録)
前半では没落した名家に生まれ、やがて有名な写真家となるエッシュブルクの半生を描く。中盤で殺人事件が起き、彼が殺人犯として逮捕され、後半で裁判の経緯が語られる。
検事と弁護士の攻防が生み出す法廷ミステリらしい展開とは異質の驚きがある。
結末の衝撃を消化するために、そして主人公の思惑を追体験するために、再読を促す小説といえる。
無駄をそぎ落とした鋭利な文体もまた、本書のそうした趣向を支える。饒舌と対局を、読者が自ら補完することを求められる文章である。
登場人物への共感を誘い、読者の心を揺さぶる小説とは異なる、冷たい静けさに満ちている。
感情よりも理性に訴えかけており、一読して戸惑い、再読して没入する。そんな作品。

No.1 4点 kanamori
(2015/01/25 18:26登録)
没落したドイツ名家の御曹司として生まれたゼバスティアンは、特別な才能を活かし写真家として成功をおさめるが、ある日、若い女性を殺害したとして緊急逮捕される。刑事弁護士ビーグラーは、この”死体のない事件”に対峙し法廷に立つが----------。

これは、いったい???
ほぼ小説の半分を費やしてゼバスティアンの半生が語られ、読者には事件の概要さえ知らされない。
ゼバスティアンが育った湖畔の屋敷やスイスの寄宿学校の生活、父親の自殺、母親の再婚、写真家として成功をおさめていく過程などが、細切れのエピソードとして、無駄を排した淡々とした筆致で綴られていく。
たしかに小説としては文芸的でよく書けており、後半に起きる”事件の核心”につながる伏線らしき描写もあるものの、真相を知ると、ここまで書き込む必要があったのか疑問に思えてしまう部分が多くて気になった。また、後半に入って登場する弁護士ビーグラーの人物像は魅力的で面白いのはいいが、法廷ミステリとしては極めて中身の薄いものとなっているも残念だ。
このネタであれば短編ででも書けるのではないだろうか。本国ドイツで、”賛否両論の問題作”という評価も肯ける。

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