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ミステリの祭典

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乙霧村の七人

作家 伊岡瞬
出版日2014年12月
平均点6.67点
書評数3人

No.3 5点
(2017/10/25 21:34登録)
タイトルからして、あの伊岡さんのホラーか?と期待した分ちょっと拍子抜け的な小説だったけど、きちっと、事件部分と解説部分と分かれていたので読みやすかった。
それに、事件のリアリティさと、解説部分のインタビュー形式が相反していて面白かったし、真相が色々と反転して、事実と違う真相がが描かれていてすごかった。
それぞれの登場人物が全員、一癖も二癖ある人物だと思わせる描写は素晴らしい。
あと、思ったほどホーラー的な要素は少なく、そうグロくもないので、苦手な人にも読みやすいかなと思う。

No.2 7点 名探偵ジャパン
(2017/04/25 19:50登録)
二十二年前に一家惨殺事件が起きた過疎村を興味本位で訪れた大学生グループが恐ろしい目に遭う、という第一部と、それ(と二十二年前の事件)についての謎解きが行われる第二部の二部構成です。
断片的な情報が組み合わさっていき、全体像が明かされる第二部の完成度は高いです。しかしながら、その鮮やかさに比べると、第一部のホラー部分の長すぎ感が際立ちもします。ハードカバー映えするぎりぎりといってもいい、250ページ程度の分量のため、やむなく水増ししたのか? と勘ぐってしまいます。
とはいえ、サイコや狂気に頼らずに全てが理屈で解き明かされる解決編は読み応えがあります。最後の最後に待つサプライズもいい感じでした。
二十二年前の真相については、色々と理屈が付けられてはいましたが、「いや、話せよ!」と、ちょっと突っ込んでしまいましたが。

No.1 8点 公アキ
(2015/09/25 17:19登録)
 買って良かった、と思える良作でした。
 作品全体が「第一部」「第二部」に分かれており、前半で事件が起き、後半ではその舞台裏が解き明かされていきます。クローズドサークルでの不可解殺人劇を勝手に期待していた私にとって、いざ作品が中盤に差し掛かってみればただのパニックホラーで、しかも隠そうとしている犯人の正体もかなり予想がついてしまうし、まさかこのまま終わるってことはないよな……? と不安なまま(しかも予感が的中し)、第一部が幕を閉じました。
 しかし、第二部にやられました。往々にして所謂「本格推理小説」には「ただのパズルを文章化しただけであり、ニンゲンが描けていない」という批判がついてまわるものですが、この作品はまさにその人間の関係の在り方に”核”があり、とても緻密で無理のない舞台設定が徐々に解き明かされていく様と、この作品最大の”オチ”に、大変興奮させられました。

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