home

ミステリの祭典

login
リカ
リカ

作家 五十嵐貴久
出版日2002年01月
平均点6.33点
書評数3人

No.3 6点 パンやん
(2016/04/04 08:48登録)
恐るべき読み易さ、しかも文章に迫力があり、ホラーとしてよりも、サスペンス・スリラーとしての面白さに尽きる。リカの描写以上に、出会い系サイトでの細かいやり取り、その駆け引きの妙がうまい。追い詰められるサラリーマンに感情移入しやすいが故に、強烈な幕切れが。

No.2 7点
(2015/08/20 10:01登録)
小説の世界だけでなく、現代の実社会においてもありがちなこと(そんなわけはないと思いたい)。単純だけど本当に怖い話だった。

小説の中でも語られていることだが、インターネットというのは悪魔の住処。魑魅魍魎が跋扈するわけのわからない世界だ。
主人公がかかわりあった出会いサイトなどの疑わしいサイトにアクセスをしなくても、善意の利用者が、何らかの拍子で、交通事故のように被害をこうむることだってある。ということがわかっていても、便利だから使ってしまう。

しかしそれにしても、作者による、主人公を痛めつける技は凄い。もっと早めに気づけよ、他にも方法があるだろ、と言いたくもなるが、でも逃げ場なしにするからこそ面白い。
本編のラストも加筆したエピローグも特段のひねりはないので、ミステリ好きの読者よりも、重畳的に襲いかかってくる恐怖を楽しみたい方におすすめです。

リカの描き方があまいという意見もあるようだが、正体がはっきりしないからこその恐怖だってあるはず。
リカは実質的な主人公といってもよく、頭も良さそうだから、女版レクターのような位置づけで書いたのではないだろうか。
終わり方も怖いが、ある意味、続きがありそうなラストだ。調べてみると、『リターン』という続編があった。リカが成長して戻ってくるのだろうか?

No.1 6点 メルカトル
(2014/10/14 22:14登録)
第2回ホラーサスペンス大賞受賞のデビュー作。
妻子ある主人公のたかおは後輩の手引きにより、出会い系サイトに次第にハマっていく。そこでターゲットに選んだのがリカだった。彼はリカに少しずつサイトを通じて接近していき、次第に自分に依存するように仕向けていくことに成功したかに見えたが、そこからが真の恐怖の始まりだった。内心、こんな女いないだろうと思いながらも、嫉妬に狂った女の恐ろしさは私も身に染みているので、一口にに絵空事では済まされない面もある。
概略は非常にありふれた、どこにでもあるようなストーリーだが、細かいディテールに拘っていることや、こなれた文章、恐怖を徐々に盛り上げていく手腕などが際立っており、なかなかの仕上がりになっている。
ただ、いくつかの謎がそのまま残されており、特に娘の亜矢に関するいくつかの疑問が有耶無耶なのは、もしかしたらいつか続編が書かれることを意識しているのかもしれない。が、やはり一つの小説として、完結すべきところはちゃんとケリをつけるべきだろう。
尚、エピローグは加筆されたらしいが、これは怖い。実に凄みのある印象深い結末となっている。

3レコード表示中です 書評