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ミステリの祭典

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ゴーストマン 時限紙幣
始末屋ゴーストマン

作家 ロジャー・ホッブズ
出版日2014年08月
平均点6.67点
書評数3人

No.3 7点 YMY
(2022/05/03 23:37登録)
48時間後に爆発する「時限紙幣」を犯罪の後始末のプロが追跡する犯罪小説。
過去と現在を並行させる巧みな展開、迫力に満ちた銃撃戦、緻密な強奪計画と実行と申し分ない。複数の陰謀が絡み合い、沸点を目指していく興趣も抜群。
スタイリッシュでクールすぎるのが鼻につくが。

No.2 6点
(2015/05/11 09:45登録)
主人公の「私」は、依頼を請けて犯罪の痕跡を消すプロの始末屋。
その始末屋をゴーストマンと呼ぶ。
ということで本書は犯罪小説です。経済小説ではありません。

現在の事件と、過去の事件とが交互に語られていて、各章が短く、スピード感にあふれ、テンポがよいのが特徴です。
一人称のハードボイルド文体で書かれていますが、文体にマッチした重厚感はあまりありません。

主人公の「私」をひとことで評するなら、クール&スマートといった感じです。
その「私」が、借りのある犯罪組織の親玉・マーカスから依頼され、冒頭で起きた事件の後処理をする。これが現在進行中の話です。処理の対象は、タイトルどおりの「時限紙幣」。タイムリミットは48時間。
そして過去の話として、「時限紙幣」の仕事を請けざるを得なくなった過去の失態話が随所に挿入されています。

作者は26歳の超若手。その若手作家が23歳で書いたデビュー作ということですが、若さで書き抜いた超エンタメ作品といえるでしょう。
本書の魅力は、やはり中途のサスペンスとアクションでしょうか。「私」視点の迫力もあり、見どころ満載です。

No.1 7点 kanamori
(2014/11/20 23:04登録)
カジノの現金輸送車から強奪された120万ドルの札束には、48時間後に爆発するインク爆弾が仕込まれていた。犯罪立案者マーカスに過去の借りを返すため、ゴーストマンこと「私」はその”時限紙幣”の奪還命令に応じるが--------。

ロジャー・ホッブズのデビュー作となるクライム・ノヴェル。
刊行前から話題になり日本での評判も上々とは聞いていましたが、実際、とても弱冠23歳のときに書いた作品とは思えない出来栄えに驚きました。
麻薬マフィアのボスが絡むタイムリミット・サスペンスの”現在”パートと、マレーシアを舞台にした5年前の銀行襲撃計画の顛末が語られる襲撃(ケイパー)小説の”過去”パートが交互に描かれ、一冊で異なるタイプの2つの小説を味わえる。各章のラストでサスペンスを繫ぐ構成上のテクニックが上手いと感じた。
解説でも述べているが、主人公ゴーストマンは変装を武器とする犯罪者ながら、ハードボイルド風の語りもあり、現在パートでは事件の真相を追う私立探偵を思わせるところがある。FBIの女性捜査官との絡みではワイズラックも飛び出し、後半になるにつれ人物的魅力が増してきたように思う。
「私」の師匠アンジェラや犯罪プランナーのマーカスとの関係など、今後の展開が楽しみであり是非とも続編も読んでみたい。

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