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ミステリの祭典

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容疑者
スコット&警察犬マギー

作家 ロバート・クレイス
出版日2014年09月
平均点6.33点
書評数3人

No.3 5点 E-BANKER
(2020/07/27 21:17登録)
図書館で翻訳ミステリーを探しているときに、何となく手に取ってしまった本作。
もちろん作者の初読みなのだが、こういうときに思わぬ(?)出会いがあるのかも・・・と期待してみる。
2013年の発表。

~ロス市警の刑事スコットは相棒とパトロール中、銃撃事件に遭遇する。銃弾はふたりを襲い、相棒は死亡。スコットも重傷を負った。事件から九か月半、犯人はいまだに捕まっていない。警備中隊へ配属となったスコットはそこで新たな相棒・・・スコットと同様に大切な相棒を失ったシェパード、マギーに出会った。アメリカ探偵作家クラブの生涯功労賞を受賞した著者の大作~

アメリカ版『相棒』である。しかも、人間と犬の。
それぞれ掛け替えのない『相棒』を失ったものどうしが、まるで引き寄せられるように新たな『相棒』となる物語。
当然、そこには強い絆が芽生えていくのだ。

物語は主人公スコット刑事が遭遇することとなった銃撃事件の真相をめぐって二転三転することとなる。
真犯人は・・・まぁ「よくある手」といえばそうだし、終盤のピンチシーンもこういう種類の作品にはつきものという感じはする。そういう意味で新鮮さには正直乏しい。
だからといって別につまらないかというと、そんなこともない。(なんて、煮え切らない感想だ!)
よく言えば、安心して楽しむことのできる、一定水準の小説というところか。
評点はうーん・・・そこそこっていう水準かな。シェパード犬マギーの充実さに免じてこのくらいかな。
(マギー視点での挿入部分もあるのが割とよかった。宮部みゆきみたいにまるまる犬視点でないことも良い)

巻末解説で北上次郎氏が、犬の出てくる翻訳小説ベスト10を挙げているのだけど・・・1冊も読んだことない!
(さすがに北上氏だけあって、「バスガヴィルの犬」なんて選択はされてなかった・・・)
ちなみに、番外として国内小説で挙げているのが、西村寿行の「老人と狩りをしない猟犬物語」と乃南アサの「凍える牙」なのだが、前者は未読なので近いうちに読んでみよう。

No.2 7点 YMY
(2018/11/19 19:50登録)
ロス市警の刑事スコットは銃撃戦で相棒を失い、それがトラウマになっている。彼は心と体の傷が癒えないまま、主人を失ってやはり傷ついているシェパードのマギーの訓練に取り掛かる。そんな時、銃撃戦の捜査に新たな展開があったことを知り、マギーとともに探り始めるのだった。
スコットの不器用だが粘り強い捜査ぶりも新鮮だが、なによりマギーとスコットが少しずつ心を通わせていく過程が胸を打つ。
犬というのはなんて愛情あふれる忠実な生き物なんだろうと、健気な姿に胸がしめつけられた。

No.1 7点
(2016/10/28 21:32登録)
私立探偵エルヴィス・コールのハードボイルド・シリーズが知られている作家ですが、まず手に取ってみたのはパトロール中に銃撃事件で相棒を失った警官スコットが主役の本作。それにもう一人…じゃなかった一匹、牝ジャーマン・シェパードのマギーがその相棒として活躍します。プロローグで語られるのはマギーが軍用犬だった時、ハンドラー(指導手)を失った事件です。
となるとまあ、似た境遇のその一人と一匹の新たな絆、トラウマの克服といったところがテーマになるのは当然のことです。中心となる銃撃事件の真相もよくあるパターンで、つまり作者は新奇なアイディアで読者を惹き付けることは最初から考えていません。細部の描きこみで読ませるタイプであり、そういうものとしてよくできています。登場人物の中では警察犬隊主任指導官のリーランドが特に魅力的です。またマギーの視点から書かれた部分もところどころ出てきます。

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