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ミステリの祭典

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さよなら神様
神様シリーズ

作家 麻耶雄嵩
出版日2014年08月
平均点6.62点
書評数24人

No.4 7点 虫暮部
(2014/12/02 19:03登録)
 神様という設定があまり生きていないな~と思いながら読んでいたら、後半、“事件の因果関係が覆る”“神様を利用する犯人”というネタに驚かされた。これも計算のうち?
 ところで本書に限らないが、シリーズものの短編集でキャラクターの説明が1編ごとに繰り返されるのは邪魔。雑誌掲載時に必要だったのは判るけど。

No.3 7点 アイス・コーヒー
(2014/11/30 15:05登録)
「神様ゲーム」の続編となる連作短編集。久遠小学校に転校してきた神様、今度は文武両道イケメン超人として登場する。自ら「神」だと名乗りクラス中から熱狂的な人気を得る彼に、久遠小探偵団の桑町淳は殺人事件の犯人を訊ねる。
「犯人は○○だよ」の言葉から始まる本作は、途中までその特殊設定をいかした正統派本格ミステリとして描かれる。ただ、「神様ゲーム」があれだけの破壊力をもった問題作だったこともあって、少し大人しすぎるように感じてしまうのだ。
しかし、「バレンタイン昔語り」から一気に麻耶らしさを発揮し、読者の予想をはるかに超えた驚異の展開を繰り返してラストに至る。読後の衝撃は「神様ゲーム」にも勝るとも劣らないものだ。この極端なロジックやアンフェアぎりぎりの推理は麻耶雄嵩にしか書けないものだろう。
また、そのミステリとしての構図に「人間を翻弄する神と、その神をもあざとく利用する人間」という壮大な構図を盛り込んでいるあたりも天才的。主人公の淳は、前作の芳雄とは別の形で大人になるということか…。
ここまで破天荒だと、最早作中の小学生たちのリアリティなどどうでもよくなってくる。2014年の新刊でも一番に推したいクオリティだった。

No.2 7点 まさむね
(2014/10/04 23:10登録)
 ミステリーランドの衝撃作「神様ゲーム」に続くシリーズ第2弾の連作短編集。
 読みどころは,第4話「バレンタイン昔語り」でしょうか。「ああ,コレかぁ…」と思わせつつの更なる仕掛けが見事。これも前半3作品があってのこと。最終話を含めて,全体構成はいかにも「麻耶作品」です。
 ちなみに,登場人物の名字は三重県内のJR関西本線&伊賀鉄道(作者の出身地ですね)の駅名から採用しています。こういった,いつもの麻耶さんの遊び心は結構好きです。

No.1 6点 kanamori
(2014/09/03 20:51登録)
久遠小学校5年生の”俺”桑町が、身辺で起きた殺人事件の犯人を全知全能の”神様”こと同級生の鈴木太郎に尋ねると、”神様”は一言だけ宣う、「犯人は〇〇だよ」--------。

ジュヴナイル小説なのにそのブラック過ぎる結末で話題になった「神様ゲーム」に続くシリーズ第2弾で、今回は連作短編集。
最終話を除いて、各話とも冒頭で神様によって犯人の名前がいきなり開陳される構成になっているため、フーダニットの興趣を排した、ホワイダニット(動機の謎)やハウダニット(アリバイ崩し)を主軸にした内容となっている。
正直なとこと前半の3編は、麻耶作品としては驚くような出来ではなく凡庸かなと思いますが、第4話「バレンタイン昔語り」でギアチェンジ、仕掛けが炸裂する。アレ系の騙りは「またか」と思いますが、それとは別に構成自体をミスリードに使った騙しの手際のほうは見事です。
全知全能の神様の存在を前提にした企みによる最終話までの流れ、ヒネクレた収束の仕方はいかにも麻耶作品らしいです。

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