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ミステリの祭典

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M博士の島

作家 森晶麿
出版日2014年04月
平均点6.67点
書評数3人

No.3 6点 名探偵ジャパン
(2019/05/16 21:49登録)
『M博士の比類なき実験』と改題された文庫版で読了しました。
「孤島もの」で「首なし死体もの」ですが、本作の一種独特な世界設定は、ちょっと他に例がないと思います。
首切りトリックも、普通であれば何てことのないトリックなのですが、作品の持つ異様な雰囲気に翻弄されて、「ああ、そうね」と、一周回って虚を突かれた感じで楽しめました。
最後はあまり好みではない「オチ」でしたが、この作品ならありでしょう。タイトルにも出てくるM博士の手術技術が、もはや超能力レベルに凄すぎるのも気になりましたが、一種の特殊設定と考えれば。

No.2 6点 メルカトル
(2014/10/08 22:29登録)
どことなくよそよそしい文章が好みではないが、孤島物としてはまずまず合格点ではないかと思う。構造は本格ミステリだが、サスペンスの要素も多分に含まれている。その割には緊迫感が感じられず、考えてみればかなりの苦境に立たされているにもかかわらず、意外と平常心を保っている登場人物たちが異様に思える。
通常のミステリであれば、首なし死体や生首が現れたのだから、推理合戦とまではいかなくても、犯人は誰かとか、動機は何なのかなどの論戦が繰り広げられるものだと思うが、本作においては一向にその気配もなく、議論は明後日のほうに終始しているのが訝しい。それもそのはず、この作品の白眉は、実は孤島を脱出してからなのだから。
正直、島での殺人事件が起こるまでは勿論、それ以降もなんとなく展開がもたついてスッキリしない気分だが、終盤に来てようやく本来のキレを取り戻している感がある。そこにいたって初めて本書の良さが理解できるだろう。まあ、はっきり言ってお薦めとは言えないが、孤島物が好きな人は一応読む価値はあるかもしれないね。

No.1 8点 虫暮部
(2014/05/13 09:49登録)
孤島、天才、首無し死体、といった要素からの安易な連想かもしれないが、重厚な文体で書かれた西尾維新、といった印象である。なかなか突飛な話だが、私としては大いにアリ。 

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