リッジウェイ家の女 |
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作家 | リチャード・ニーリィ |
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出版日 | 2014年05月 |
平均点 | 5.67点 |
書評数 | 3人 |
No.3 | 6点 | 蟷螂の斧 | |
(2014/12/30 21:08登録) (タイトル女31冊目)ニーリィらしさがないと言えばないのですが、後半は作風に反して活劇的な展開となり、ファンとしては逆な意味で楽しめました。解説は自称ニーリィ中毒の折原一氏。私の場合は折原一氏中毒?からリチャード・ニーリィ氏ファンへとなりました(笑)。 |
No.2 | 5点 | E-BANKER | |
(2014/07/20 22:11登録) 1975年に発表された長編作品で、作者の代表作「心引き裂かれて」のひとつ前に当たる。 長らく日本未訳だったのが、最近扶桑社文庫にて発刊された。 ~ギャラリーでダイアンの絵を見て声をかけてきたのは、退役空軍大佐のクリスだった。裕福な未亡人だが夫の死に関わる暗い記憶をもつダイアンは、新たに始まった恋に戸惑う。やがて二人は再婚して新たな生活を始めるが、そこに疎遠になっていた娘のジェニファーとその恋人ポールから突然連絡が入って・・・。不幸な過去に囚われた母と娘の確執とアンビバレントな感情。同居を始めた四人の生活にさす怪しい影~ 帯には『鬼才ニーリィの離れ業』とあるが、そこまでではないなという感想。 ニーリィというと、どうしても「心引き裂かれて」や「殺人症候群」を始めとするサイコ・サスペンスのイメージが強すぎるきらいがある。 本作はそういった要素は皆無といってよく、正直なところニーリィとしてはおとなしいプロット。 ラストには一応ドンデン返しが待ち受けてはいるのだが、十分に予想の範囲内のものではあった。 ストーリーは母娘であるダイアンとジェニファーというリッジウェイ家の二人の女性の視点で描かれる。 ただし、視点に何か仕掛けがあるのではないので、逆にそれが読みにくさに繋がっているかもしれない・・・ 序盤から中盤までは特段事件らしい事件も起こらず、淡々とした展開が続く。 その分、終盤からのスピードアップが効いてくるという面はあるのだけど、冗長さは免れないかなぁ。 こうやって書いていると、どうにも不満点しか浮かんでこないんだけど、それもこれもニーリィという作家に対する固定観念のせいなのかもしれない。 誰しも全ての作品が似たようなプロットというわけではないのだから、ニーリィにもこういう作品があるということなのだろう。 巻末解説者の折原一もその辺りは心得ており、本作に対する評価はほんのおまけ程度に触れているだけ。 「読みやすく」「とっつきやすい」というのが本作のストロングポイントだろうけど、そこはあまりなぁ・・・期待していないところだけに高評価は難しい。 |
No.1 | 6点 | kanamori | |
(2014/05/20 00:00登録) 裕福な未亡人ダリアンは、画廊で彼女の絵を見て声をかけてきた退役軍人のクリスと再婚し新しい生活を始める。そこに疎遠になっていた一人娘ジェニファーが恋人を伴い帰ってきた。ところが、ダリアンの資産運用を巡ってある人物の正体に疑惑が生じ、男女4人の同居生活に暗い影が------。 ロス・マクドナルドの名作を思わせるタイトルですが、本書の原題は”The Ridgway Women"で「女」は複数形です。 裕福な未亡人ながら前夫の死に関わる暗い過去を持つダリアンと、その事件が原因で彼女と疎遠になっていた一人娘ジェニファーの、ふたりの女性の視点を章ごとに変えて物語が展開します。ただしロス・マク風の”家庭の悲劇”的要素は味付け程度で、(ネタバレになるので詳しく書けませんが)メインのテーマ(ネタ)は全く別モノです。 「騙りの魔術師」らしくラスト近くで二度にわたり構図のひっくり返しを演出しているのですが、結局のところ、着地点は序盤の段階で何となく想像していたものでした。まあ、サプライズではあるのですが.....。 過激な異常心理モノではないので、ニーリイが苦手な人でも取っつきやすい反面、ファンは物足りないかもしれません。 |