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ミステリの祭典

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泣き童子 三島屋変調百物語参之続
三島屋変調百物語

作家 宮部みゆき
出版日2013年06月
平均点7.75点
書評数4人

No.4 8点 ALFA
(2022/02/23 09:30登録)
宮部みゆき、安定の時代物ホラー。
三島屋おちかが客を招いて一人一話の怪異譚を聞くというシリーズもの。
「語って語り捨て。聞いて聞き捨て。」が決まりなので語る者も癒され、聞くおちかの人生観も深まるという趣向。
おちかをめぐる人間模様も楽しめる。

今回は、おちかが怪談語りの寄り合いに招かれて聞く四話を含めて計九話。
お気に入りは「まぐる笛」と「節気顔」。
前者は村に祟りをなす怪異を退治するというよくある話だが、重厚にして壮大。
後者は精緻なロジックがこの世のルールと奇妙にねじれた、現代ホラーらしい構造で面白い。

No.3 7点 メルカトル
(2016/10/17 22:00登録)
さすがは宮部女史。流れるような筆運びとどこか温かみのある文体に乗せて語られる変調百物語の数々。謎というほど大げさではないものの、風変わりで不可思議な怪異はどれも結果的に腑に落ちるものばかりで、納得の連作短編集に仕上がっている。
第二話まで読んで、これは百物語というより何気に人情味のある不思議体験なのだろうと思っていたら、それ以降本物の恐ろしい物語に移り変わるので油断ならない。特に『まぐる笛』の圧倒的な迫力とスケールの大きさは、しばし他の物語を忘れさせるほどの衝撃を私に与えるのであった。
畢竟この作品は、時代小説というカテゴリーや百物語というジャンルを超えた、現代でも十分通用するホラーの傑作であると思う。

No.2 8点 ボンボン
(2016/09/23 16:20登録)
変調百物語のシリーズ3作目。バラエティに富んだ6話が収録されている。
様々な事情を抱えたお客が持ち込む怪異話を聞き取るおちかだが、その様子もすっかり堂に入って、もはやカウンセラーの域ではないか。
どの話も一級品で、6話の短編ではなく、しっかり6冊の本を読んだような感覚になる。
特に、『泣き童子』と『まぐる笛』の重厚さ、完成度の高さには感服した。どちらも結末の納め方が鮮やかで、すさまじい。
変わり種は『小雪舞う日の怪談語り』で、おちかが三島屋でお客を迎えるのではなく、よその怪談の会におよばれする趣向になっており、読んでいる方もよそ行き気分になれて楽しい。
『くりから御殿』は東日本大震災を受けての作品だろう。生き残った者が過ごした震災直後の日々の肌感覚がよみがえり、震えがきた。癒しきれる傷ではないけれど、それでもなお癒そうとする宮部さんの渾身の一作だと思う。

No.1 8点 白い風
(2013/10/04 00:10登録)
待ちに待ったシリーズ第3作目ですね。
やっぱり宮部さんの歴史物は面白い!
例の謎の男の影も出てきて今後も益々面白くなりそう。
今回からまた新しいメンバー(女中の娘)も加わりましたね。
でも、逆に以前の小僧達が出てこないのは寂しいかも。
次回作が待ち遠しいですね。

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