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ミステリの祭典

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二千万ドルと鰯一匹

作家 カトリーヌ・アルレー
出版日1974年01月
平均点6.67点
書評数3人

No.3 8点 斎藤警部
(2020/11/24 15:22登録)
「でも、そうした連中って、わたし、一番嫌いなんです。ですから、白状しますけれど、そんな男の一人なら犠牲にしてもどうということもないと考えましたわ。」

若い未亡人は莫大な遺産を独り占めしたい。 邪魔な義息は交通事故で療養中。 未亡人は義息の抹殺を”その筋で評判の”看護婦に依頼する。 看護婦は老人相手の”実績”こそ豊富(貯め込んだ財産も相当なもの)だが、若者相手の”仕事”は初めて。 これを最後に(裏も表も)稼業から足を洗い、小説家の恋人と後半生をリッチにのんびり暮したいと夢見る看護婦。。。 これ以上、灼熱の粗筋は晒せません。 短い話だが山場が長い! これぞ犯罪サスペンス。 これぞ悪女というか悪人モノ、いや、やっぱり悪女モノと呼ぼう(女と男は違う)。 時に意外なほど人間くさくとも、決して弱くはない主人公(って誰?)。 拍手を促す最高のラストシーン。 涙さえ誘う最高の大人の友情物語(とは思えない方も多かろう)。 イカすぜアルレー!

"二千万とは男たちが考えていることであり、鰯一匹とは、本当のこと、そして男たちの目には入らないことだった。そして、それらすべてを合わせたのが女たちの経験と呼ばれるものなのだ。"

むかしNHKの夜ドラで『わらの女』続篇まがいの体で『ガラスの女』なる題名でやってました。 幼少の頃、ミステリ好きの美しき母と一緒に欠かさず見てたもんです。

「あなたのその美貌と、名前と、財産を利用すること、そして、決してあきらめては駄目。今度のことはほんの魔がさしただけだと信じ込ませるのよ。あなたなら、きっとできる。」

No.2 6点 蟷螂の斧
(2016/02/28 18:12登録)
悪女と悪女の対決。男が腑抜けに思えてきます(笑)。題名は、男は2000万ドルの夢は与えてくれるかもしれないが、現実的には鰯一匹しか与えてくれないというような意味です。著者の特徴である登場人物の少なさという点でも読み易いです。本作登場の悪女は完全犯罪を成功させることができるか?が読みどころの一つですね。

No.1 6点
(2013/05/13 17:33登録)
遺産を独り占めするために義理の息子の殺害を依頼する若い未亡人イリーナ、殺害の依頼を受けて損得を考えながら画策する看護婦ヘルタ、果たしてどちらの悪女に軍配が上がるのか、それとも、彼女たちを取り巻く男たちが最後に笑うのか?

「わらの女」みたいにドキドキしながら読めるわけではありませんが、むしろ人間対人間の欲得まみれの対決構図によるサスペンスを楽しむことができます。にもかかわらず軽いタッチというのも魅力です。「わらの女」より好みという読者もいるでしょう。
金のためとはいえ、よくもまあ、こんなに危ない橋を渡ろうとするものですね。そして、そんな危険だらけの計画を悪女たちが、ミスはしないか、ばれはしないかと気をもみながら進めるところが、人間くさくて面白い。

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