日光浴者の日記 ペリイ・メイスン |
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作家 | E・S・ガードナー |
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出版日 | 1955年07月 |
平均点 | 6.33点 |
書評数 | 3人 |
No.3 | 6点 | 人並由真 | |
(2024/11/13 15:47登録) (ネタバレなし) 弁護士メイスンの事務所に白昼、掛かって来た電話。それはゴルフ場の近隣で全裸で日光浴を楽しんでいる最中、着ていた衣服もろとも移動住居のトレーラー(キャンピングカー)を盗まれてしまった若い女性アーリーン・デュヴァルからの、窮状を訴えるものだった。とりあえず婦人服を用意した秘書のデラとともにアーリーンのもとに向かったメイスンは、身支度を整えた彼女の事情を聞く。どうやらトレーラーの盗難は事実らしい。実はアーリーンの父コルトンは元銀行員だったが、銀行の多額の金を輸送中に横領した疑いを掛けられ、5年間服役中だった。だがまだその大金は見つからず、一方で父の無実を信じるアーリーンは事件の仔細や自ら調査した情報を日記に書き留めていた。それもトレーラーとともに盗まれてしまったようだ。メイスンは私立探偵ポール・ドレイクとその部下たちの協力のもと、トレーラーの行方を追うが、やがて事態は予期せぬ殺人事件に繋がっていく。 1955年のアメリカ作品。メイスンシリーズの長編第47弾。 久々にメイスン成分が補給したくなって、どうせならエッチな(要素のある)ものを読もうと中学生時代に一度読んだポケミスを数十年ぶりに再読する。 事件も犯人もミステリ的なギミックも完全に失念していて、冒頭でゲストヒロイン(アーリーン)が電話でメイスンに訴えた「郵便切手を隠すほどのものも、身につけていないんですのよ」の文句のみ覚えていた。今でも東西のミステリ史上全域において、筆頭格のイヤラしい名セリフだと思う(笑・汗)。 メイスンシリーズは全般的に、中盤からの筋立ての分岐が顕著で、ちょっと気を抜くと話の流れを見失いかける危うさがある(よくできた時はそこがミステリ的に面白いのだが)が、今回はメインストーリーが太い幹となっている印象で非常に読みやすい。シリーズの円熟を感じさせる仕上がりだ。 終盤、残りページが少なくなる中、本当にこれで真相の解決まで行くのかな、とも思ったが、読者には伏せておいた情報を作者側がいきなり語り、急転直下の決着に導く。その辺にちょっとだけアンフェアさを感じて個人的には微妙な思いもしないでもないが、確かにその分、サプライズ感はそれなりにあった。 真犯人の正体は、えー!(これも良くも悪くも)という感じで、某・欧米の巨匠パズラー作家の変化球作品を思わせたが、この辺はタマには? こういうクセ球を放ってみたくなった当時のガードナーの茶目っ気だったかもしれない。 (あと写真撮影関連のギミック、これって……。) 全体としては佳作~秀作の中か下。メイスンシリーズとしてはBの上くらい。 これでひとまずメイスンものには満腹したような、それなり以上に面白いのでまた近くもう一冊くらい読みたいような、そんな気分の中を振幅する感じ。たぶんメイスンファン(の末席)としては、すこぶる健全な反応であろう? |
No.2 | 6点 | 弾十六 | |
(2019/08/24 04:15登録) ペリーファン評価★★★★☆ ペリー メイスン第47話。1955年5月出版。Saturday Evening Post連載(1955-3-5〜4-23) ハヤカワ文庫で読了。(なお、以下はAmazon書評の転載です。ちょっと変更。いずれ再読したらあらためて書きます。) ポスト誌集中連載時代(10年間に14作)の3作目。トレイラー生活の裸体愛好家が依頼人。未解決の現金消失事件が浮上します。バーガーはメイスンを大陪審に召喚し証言させた上で、予審で偽証罪に陥れようとしますが、まんまとはぐらかされ地団駄を踏みます。解決はちょっと複雑な感じ。トレイラーは「去年の型の」25フィートのヒライヤ(Heliar 架空ブランド?)、車は黄色いキャディラックのコンバーチブルが登場。 唐突に安全運転宣言をするメイスン、初期の暴走ぶりと比べるとうってかわった態度。作者が誰かに言われたのでしょうね。 (2017年4月29日記載) |
No.1 | 7点 | nukkam | |
(2014/02/16 10:09登録) (ネタバレなしです) 1955年発表のペリイ・メイスンシリーズ第47作の本格派推理小説です。メイスンは証拠隠滅や犯人隠匿と疑われても仕方ないような行動をとってはらはらさせることがありますけど、今回はそれを目撃されてしまいもう絶体絶命...、と思わせてのそこからの逆転劇が凄いです。それは巧妙なミスディレクションあっての賜物で、数あるシリーズ逆転劇の中でも鮮やかな印象を与えます。 |