放浪処女事件 ペリイ・メイスン |
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作家 | E・S・ガードナー |
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出版日 | 1954年07月 |
平均点 | 4.67点 |
書評数 | 3人 |
No.3 | 5点 | nukkam | |
(2022/04/17 20:11登録) (ネタバレなしです) 1948年発表のペリイ・メイスンシリーズ第32作の本格派推理小説です。複雑な人間関係に複雑な真相の謎解きなんですが、プロット整理があまり上手くなくてわかりにくいです。殺人以外の悪だくみの謎解きの方がメインにさえ感じられ、肝心の殺人の謎解きはかなり乱暴な推理を自白に助けてもらっている始末です。英語原題が「The Case of Vagabond Virgin」ですので日本語タイトルを「放浪処女事件」としているのは誤訳とは言えませんけどなんかしっくりきません。ハミルトン・バーガー検事が使った「無垢」という表現の方がまだ合っているように思いました。それにしても当時の米国では18歳はそれなりに保護される年齢だったのですね。 |
No.2 | 5点 | 弾十六 | |
(2019/08/17 16:11登録) ペリーファン評価★★★☆☆ ペリー メイスン第32話。1948年7月出版。ハヤカワ文庫で読了。(なお、以下はAmazon書評の転載です。いずれ再読したらあらためて書きます。) せっかちな依頼人と無邪気そうな娘。メイスンを呼び出したホルコムは尋問中のチンピラをバンバン殴ります。トラッグは相変わらず優秀、メイスンの危険な冒険はちょっぴり、デラの機転がメイスンを喜ばせます。法廷シーンは予備審問、検事はおなじみバーガー、ある証人には妙に優しいのが可笑しい。解決はあまり冴えない感じです。米国における18歳と20歳の差が印象的。 銃は38口径のリヴォルヴァ、スミス・アンド・ウェッスン社ダブル・アクション、銃身6インチ、シリアルS64805が登場。シリアルから判断するとNフレームの銃で1946-1947年製。 「.38口径とは言え本体は.44口径用ので重い銃」この記述からS&W .38/44(Heavy DutyやOutdoorsmanの愛称あり)だと思われます。(S&W .357マグナムの可能性もある?)弾丸はピーターズ社製(Peters Cartridge Co.)「.38口径」としか書かれていませんが38スペシャル弾でしょうね。 (2017年4月6日記載) |
No.1 | 4点 | 空 | |
(2017/07/14 22:31登録) 『義眼殺人事件』と並び、ペリー・メイスン・シリーズには珍しいタイトルは、ポケミスに入ったガードナーとしてはまだ『奇妙な花嫁』に続く2作目ということもあるのでしょうか。 せっかちな依頼人からの電話に始まる、殺人にまで至る事件展開は意外性があり、おもしろいのですが、その後どうも切れ味がなくなってきます。小出しにしてくる疑問点に対する解決が、どうもありきたりなのです。特に後半予備審問が始まってある証拠品が持ち出されてくる部分は、その質問からしてメイスンはもう殺人事件の重大ポイントを押さえているのだろうなと思っていたら、そうではなく、かなり後になってその点に気づくのには、がっかりです。放浪する処女の役割にしても、もっとひねってくるのかと期待していたのですが。さらにこの真犯人の設定、ヴァン・ダイン20則中現在でも通用する条項に違反の疑い濃厚ですしねえ。 |