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ミステリの祭典

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転がるダイス
ペリイ・メイスン 別題「ころがるダイス」

作家 E・S・ガードナー
出版日1957年01月
平均点6.67点
書評数3人

No.3 7点 弾十六
(2018/11/17 10:33登録)
ペリーファン評価★★★★★
ペリー メイスン第15話。1939年9月出版。ハヤカワ文庫で読了。
大好きなネタ(今回はヤマ師)だとイキイキするガードナー。抜け目ないジジイのキャラが魅力的。タイトルは骨とサイコロの掛け言葉。レギュラー脇役の電話交換嬢兼受付ガートルード レイド初登場。本作では眼鏡で、背が高く、カマキリのように痩せている…(tall, thin as a rail, her figure angular, her face plain)などと描写されていますが、第16話以降はなぜか豊満タイプのブロンド(メガネ描写なし)に変身。ガードナーはキャラの一貫性に結構無頓着です。
物語は事務所のシーンからスタート。仕事の手紙と金持ちが嫌いなメイスンをデラがあやします。鑑定士ミルトン スタイブによる筆跡講座あり。ホルコム部長刑事は(なぜか)サンタに罵られます。メイスン事務所はセントラル・アンド・クラーク(Central and Clark 残念ながら架空の所番地)と明記。書中で言及されているニューヨークのモデル殺し(検死医が死亡時刻の推定を間違えた)は実在の事件かどうか不明。「サン クェンティン監獄のガス死刑室」p189とありますが、カリフォルニア州が絞首刑から致死性ガス刑に変更したのは1937年議決で、最初のガス室はサンクエンティン(1938)に作られ、12月に最初の執行があったそうです。
メイスンの冒険はスピード違反(ここでの警官に対するメイスンの態度は全くヒドい…)など小粒なものばかりで、法廷でもトリックを使い、好意的な老判事ノックスを呆れさせます。でも結末はパズルの紛らわしいピースがぴったりはまり、その切れ味でデラがロックを踊りたくなるほど興奮します。 (この時代に「ロック」?と思って原文を見たら I could dance a jig on the judge’s benchでした)

No.2 7点 nukkam
(2016/07/18 00:30登録)
(ネタバレなしです) 一族のもてあまし者扱いされていたオルデン・リーズは今や大金持ち。その彼が謎の人物宛てに2万ドルの小切手を振り出した。もしもこれが詐欺や脅迫絡みなら、意地悪な親戚がオルデンを禁治産者に仕立てて財産を処理できないようにしかねないという相談をペリイ・メイスンが受けるプロットの1939年発表のペリイ・メイスンシリーズ第19作です。敵対する側は無論ですがオルデン側にも一筋縄ではいかない人物を配するなど複雑な人物模様にメイスンもなかなか大変ですが、しかしそこを見事に切り開くのがやはりメイスンならでは。本格派推理小説としての謎解きも充実しており、なかなか印象的なトリックが使われています。

No.1 6点
(2013/08/19 23:44登録)
ペリー・メイスン・シリーズには以前に読んだかどうか、記憶の定かでない作品がいくつかあるのですが、本作は未読だと思っていたら、犯人の弄したトリックと、それを証明するメイスンの推理が記憶に残っていました。これはかなり目立つような書き方がされています。しかしそれ以外の点については、探偵役が誰だったのかさえ完全に忘れていました。
最初に依頼人の伯父が精神病院に監禁されてしまう事件とその一応の解決については、その後に起こる殺人事件との結びつきが弱いと感じました。また、過去の事件の顛末が今ひとつあいまいなままですし、それに関連して最後のページの意味がよくわかりません。この過去の事件についてのメイスンの新聞広告を利用した策略は、おもしろいアイディアですが。
原題は辞書を引いてみると、小説の内容との関連で様々な意味にとれそうです。

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