home

ミステリの祭典

login
夏を殺す少女

作家 アンドレアス・グルーバー
出版日2013年02月
平均点6.00点
書評数3人

No.3 6点 猫サーカス
(2019/03/07 19:29登録)
女性弁護士エヴェリーンは、元小児科医がマンホールに落ちて死んだ案件を担当していたが、所属事務所で扱った別件に奇妙な共通点を発見。当時の担当者が不審死を遂げたことで、二つの事件を追い始める。一方、ドイツの警察のヴァルター刑事は精神科病院での少女の死を調べるうちに、同様の事件が続発していることに気づいた。挿入される少女の犯罪シーンが緊迫感を高め、ぐいぐいページをめくらせる。エヴェリーンとヴァルターが出会ってからは、一気呵成の展開。エヴェリーンの抱える闇は深いが、光を感じさせる終わり方もいい。

No.2 6点 E-BANKER
(2016/11/23 13:37登録)
2009年発表。
作者はオーストリア・ウィーン出身の中堅作家。本作はドイツ国内で人気を博した模様・・・

~酔った元小児科医がマンホールにはまって死亡。市会議員が山道を運転中にエアバックが作動し運転を誤り死亡。どちらもつまらない案件のはずだった。事故の現場にひとりの娘の姿がなければ。片方の案件を担当していた先輩弁護士が謎の死を遂げていなければ。一見無関係な出来事の奥に潜むただならぬ気配。弁護士エヴェリーンは次第に事件に深入りしていく。一方ライプチヒ警察のヴォルターは病院での少女の不審死を調べていた。オーストリアの弁護士とドイツの刑事、ふたりの軌跡が出会うとき、事件がその恐るべき真の姿を現し始める・・・~

計算し尽くされたプロット・・・と言っていいと思う。
確かに既視感はある。
BSやCSでよくやってるミステリーorサスペンスもののような雰囲気、と評すればいいんだろうか。
でもまあ悪い意味ではなく、十分に引き込まれたし、達者な作家だなという印象ではあった。

紹介文のとおり、物語はオーストリアの女弁護士とドイツの刑事、ふたりの視点から交互に語られる。
それぞれの事件が奥深い展開を見せ始め、やがて事件の鍵は北ドイツの田舎町にあることが分かる・・・
ミステリー的にあまり捻りはなく、終盤のサプライズもそれほどの衝撃度はない。
謎にも大凡の決着が付けられた終盤以降、弁護士と刑事はまさにピンチの連続。
読者もハラハラさせられながら、やがて訪れるハッピーエンド・・・

という具合。
まアサスペンスの基本を押さえながら、上質なエンタメ小説に仕上げましたということだ。
手練の読者には不満もあるかもしれないけど、まずまず楽しめるレベルにはある。
ヒロイン役の弁護士エヴェリーンのキャラもまずまず。
何よりかつて行ったことのあるオーストリアやドイツの風景が描かれてるのがよかった。
お国柄かもしれないけど、実に生真面目なミステリーって感じだね。

No.1 6点 kanamori
(2013/04/11 21:58登録)
精神病院で不審死した少女の事件に係るドイツのベテラン警部と、オーストリアで名士の連続事故死に疑問を持った女性弁護士が、個別に調査するうちに過去の忌まわしい事件背景が浮かび上がってくるといったストーリー。

非英語圏(オーストリア)のミステリゆえの憶えずらい人名というハンデがあっても、序盤からグイグイと読者を引っ張っていく力強いリーダビリティが本書の持ち味でしょう。
ダブル主人公の調査過程が交互に語られ、2人の軌跡がいつどういう形で出合うのかという興味で読ませます。
事件の構図自体は早い段階で想像がつくもので、謎解きモノとしては少し物足りないですが、終盤のサスペンスが良です。

3レコード表示中です 書評