夕暮れをすぎて |
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作家 | スティーヴン・キング |
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出版日 | 2009年09月 |
平均点 | 4.67点 |
書評数 | 3人 |
No.3 | 4点 | 臣 | |
(2019/04/23 13:04登録) 長短全7編の短編集。 「ジンジャーブレッド・ガール」はワクワクしながら読めた。でも、それ以外の6作は、どれもこれもイマイチ。 短編なのに長く感じるのは、1作のネタが単位量当たりで見て小さすぎるからだろうか。 「ウィラ」や「エアロバイク」は魅かれるところもあってまだましだが、他4作は、はっきりいってよくわからんまま終わってしまうような感じだ。 それとも自分に、本当の意味での短編読みのセンスがないのだろうか? 個人的には、短編でも、長めに関係なく、しっかりとしたプロットのあるものがいいのだがなぁ。 ただ、文章的には悪くない。いつものような細かな描写には引きこまれる。 でも、本書の場合、それが災いしたのかなぁ。 |
No.2 | 7点 | ∠渉 | |
(2014/04/07 21:08登録) キングの第五短編集。 ①『ウィラ』/★★★☆☆ 文章が素敵なロマンスホラー。雰囲気がぐんぐん伝わってきて引き寄せられる。そして切なく。 ②『ジンジャーブレッド・ガール』/★★★☆☆ 完成度としては一番だと思う。キングの好きで得意なタイプのサイコスリラーって感じ。溌溂としていく女性の姿にこの作品の緻密さを感じる。 ③『ハーヴィーの夢』/★☆☆☆☆ これもキングらしく緻密。じめっとするホラー。 ④『パーキングエリア』/☆☆☆☆☆ これはギャグってことでいいんだよなぁ・・・笑。作家が主役の物語だとついついキングを思い浮かべて読んじゃうけどライナーノーツ読んだらあながちあながち、キングだった。 ⑤『エアロバイク』/★★★☆☆ これは完全にギャグです笑。個人的に一番好き。増田こうすけに書いてほしい。シュールに虜。 ⑥『彼らが残したもの』/★★☆☆☆ 9.11に関してはいろんな見解と、いろんな解決と、いろんな解釈と、いろんな妥協があると思いますが、アメリカのいち作家として書かずにはいられなかったのでしょう。 ⑦『卒業の午後』/☆☆☆☆☆ キングの脳内ワールド、爆発。どう読めばいいんだか。短いからいいけど。 初期の短編集と比べるとだいぶ毛色は変わりましたが、僕にとっては相変わらず魅力的です。 |
No.1 | 3点 | E-BANKER | |
(2013/04/05 15:39登録) “King of ホラー”の異名を持つ稀代のストーリーテラー、スティーブン・キングの作品集。 数多くの代表作がある作者だが、作者の作品に対してはまったく予備知識がないため、とりあえず短編集あたりで「小手調べ」と思い付き、某書店にて手にしたのが本作というわけなのだが・・・ ①「ウィラ」=とあるアメリカの田舎町。寂れた駅や場末のキャバレーに集まる人々たち、そして主人公のカップル・・・。何だかふわふわした文章&描写だなぁと思っていたが、「やっぱりこういうオチか!」という展開に。 ②「ジンジャーブレッド・ガール」=巻末解説の風間氏も書かれているが、これが本作の白眉だろう。幼い娘を亡くし、悪夢を忘れるため『走ること』に目覚めた主人公。主人公がひとりで訪れたある島で、とんでもない事件に巻き込まれる・・・。“サイコ”というほどの異様さではないが、さすがに読者をドキドキさせる手口は見事だ。 ③「ハーヴィーの夢」=これは????・・・。要は夢の話ということ。 ④「パーキングエリア」=????パートⅡ。で、結局どういうこと? ⑤「エアロバイク」=要するに太った男がエアロバイクに跨りながら、徐々に減量や健康体に目覚めていく・・・という話なのか? 例え話が多いので分かりにくい。 ⑥「彼らが残したもの」=やはりアメリカ人にとっては「9.11」というのは特別な意味があるということなのだろう。 ⑦「卒業の午後」=ショート・ショートというべき分量。 以上7編。 本作は、文藝春秋社が作品集「Just after Sunset」(全13編)を二分冊にした前半部分。 最初に書いたとおり、本作が「初キング」だったわけだが、正直、選択を誤ったようです。 ②以外は読んでもピンとこない作品ばかりというのが偽らざる感想。 作者に対する世間的な評価を勘案すれば、私の理解力が不足しているということなのかもしれないが、でもねぇ・・・個人的な嗜好とは大きく離れてしまっているのだから仕方がない。 やっぱり、有名作&長編からスタートしておけばよかったなぁ・・・。 |