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ミステリの祭典

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福家警部補の報告
福家警部補シリーズ

作家 大倉崇裕
出版日2013年02月
平均点6.33点
書評数3人

No.3 6点 E-BANKER
(2018/01/03 11:11登録)
「挨拶」「再訪」に続く第三弾は「報告」か・・・
『白戸修』と並び、作者を代表するシリーズとなった感のある福家警部補シリーズ。
先行して「ミステリーズ」誌に発表されたものをまとめたもの。2013年発表。

①「禁断の筋書」=前作(「再訪」)では仲違いした漫才コンビによる殺人劇があったが、今回は同じく漫画家を目指していた女性ふたりが愛憎渦巻く殺人劇を展開する。通常、倒叙形式ならば十分に準備された事件を解き明かす・・・という形式になるはずが、今回は“もののはずみ”で起こってしまった事件が相手となる。それだけ「抜け」が多いのも事実で、早々に福家警部補に勘付かれることになる。
②「少女の沈黙」=「中編」と言っていい分量のある作品。それだけ読み応えあり。任侠の世界で筋を通そうとする男というキャラは“今どき?”っていう気はするけど、しんみりさせられるラストもなかなか。
③「女神の微笑」=ある意味、「殺人鬼」との対決が描かれる最終章(そんな雰囲気ではありませんが・・・)。動機は首肯しがたいけど、倒叙形式だとこういう魅力的な犯人キャラが必須でしょう。ラストの言葉(『楽しかったわ。またお会いしましょう。』)がオシャレ(!?)

以上3編。
うん。なかなかの出来栄えだと思う。
何より、主人公たる福家警部補の魅力が大きい。
倒叙といえば、やはり先人たち(コロン○警部や古○任三○)のように、少なくとも探偵役がキャラ立ちしていなくてはお話にならない。
その点、シリーズ三作目となって、堂々たる安定感を獲得したという感がある。
警察手帳を探すくだりも、お約束なんだけどそれがないと何だか落ち着かないっていうか・・・
とにかく、シリーズは十分軌道に乗ったと言えるのではないか?

で、本筋なんだけど・・・
作品の水準としては前二作の方がやや上かな。
①でも触れたけど、①や②は無計画な殺人事件になっていて、そこが倒叙としてはちょっと弱いのかなという気がした。
やっぱり、緻密な計画犯罪VS探偵という図式がベストだろう。

今回、福家警部補が神格化されすぎた感はあるので、次は彼女が冷や汗をかくところも見たいかな。
などと、考えてしまう。
(ところで、彼女は独身なのかな? 多分そうだよな)

No.2 7点 青い車
(2016/09/24 00:48登録)
 福家警部補シリーズ三作目です。ストーリーに厚みが出てきて、円熟味を感じさせますが、自殺の偽装に苦しいところがあったり、決め手に不満があったりなど、どの作品にも何らかの惜しいところがあります。
以下、各話の感想です。
(一部、刑事コロンボのネタバレを含んでいます)


①『禁断の筋書』 わりとオーソドックスな造りの話。目新しいところは少ないですが、最後の福家警部補の逆トリックは秀逸です。かつての親友を殺害してしまった女性漫画家の悲哀もいいアクセントになっています。
②『少女の沈黙』 知的職業の犯人が多かった中で珍しいヤクザの世界を描いています。気の利いた手がかりの配置はすばらしいです。ただし、詰めの証拠がまんまコロンボの『策謀の結末』なのはちょっと残念でした。
③『女神の微笑』 爆弾を駆使したユニークな犯行は『死の方程式』が念頭にあったのでしょうか。夫婦による複数犯というのも珍しいです。よく練られた話なのですが、個人的にはやはり犯人は逮捕して決着してほしかったです。

No.1 6点 kanamori
(2013/03/16 10:18登録)
刑事コロンボ、古畑任三郎の系譜をつぐ倒叙形式ミステリの連作短編集の第3弾。

日常はドジで小ボケをかます小柄な女性警部補が、証拠ともいえない些細な違和感から抜群の推理力を発揮して犯人に肉薄していくといったギャップが面白く、シリーズ3作目にしてマンネリ感なく、逆にキャラクターが馴染んできて楽しめました。欲を言えば、犯人を落とす”決め手”にもう少し意外性があればと思います。
あと、各編とも犯人の人物像も工夫されていて、とくに2話目の東映ヤクザ映画の主人公のような(高倉健を連想させる)犯人像というのも異色ですが、ただ、このような偽装工作と人物像はアンマッチな気がしました。

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