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ミステリの祭典

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サイモン・アークの事件簿〈Ⅳ〉
サイモン・アークシリーズ

作家 エドワード・D・ホック
出版日2012年12月
平均点4.67点
書評数3人

No.3 5点 nukkam
(2022/03/20 23:55登録)
(ネタバレなしです) ホックが日本読者のためにセレクトした全3巻26作のサイモン・アークシリーズ中短編集に国内独自にセレクトした2巻16作を加えた創元推理文庫版で全61作の約2/3が読めるようになりました。本書は国内独自編集でセレクトした8作を収めた第4短編集(2012年)です。出版順ではデビュー作の「死者の村」(1955年)に次ぐ第2作ながら書かれたのは先だったらしい「悪魔の蹄跡」(1956年)はノーマン・ベロウの「魔王の足跡」(1950年)を連想させる謎が魅力的で、トリックは傑出してるとは言い難いですが怪奇性の雰囲気は申し分ありません。「切り裂きジャックの秘宝」(1978年)は秘宝の謎解きの前半からジャックの猟奇的犯行の謎解き、そして証明するのは警察に任せるとサイモンが語る衝撃的な推理へと移行するプロットの妙が印象に残ります。悪魔を探しているサイモンが暴いたのが悪魔でなく人間の悪意だったというパターンが少なくありませんが、あまりにも歪んだ動機の説明は時に説得力を欠いているように感じられてしまいます。

No.2 4点 E-BANKER
(2017/06/22 21:03登録)
~まだ見ぬ人知を超えた存在と巡り合うため、二千年の歳月を生きる謎の男サイモン・アークの旅は続く~
ということで、シリーズ四作目となる本作。
四作目ともなると、二番煎じやネタの焼き直しが気になるところですが・・・

①「悪魔の蹄跡」=いわゆる“雪密室もの”かと思いきや、別段たいしたトリックがあるわけではなかった。まさにタイトル倒れの一編。
②「黄泉の国の判事たち」=どちらかというと“Why done it”(動機)がテーマとなるのだが、それってここまでの事件を引き起こすほどのことか?っていう気はした。
③「悪魔がやって来るまでの時間」=そんなこと!?っていうようなトリック。やっぱり欧米人にとっての中国人ってそういう存在なんだねぇ・・・。
④「ドラゴンに殺された女」=“ドラゴン”が住むという湖で起こる殺人事件。“ドラゴン”も正体は脱力ものだし、何より作品に切れ味が感じられない。動機もマンネリだしね。
⑤「切り裂きジャックの秘宝」=英国伝説の殺人鬼「切り裂きジャック」にまつわる一編なんだけど、これもなぁー正直よく分からないままラストを迎えてしまった。
⑥「一角獣の娘」=これが個人的ベストかな。高層ビルから飛び降り自殺を図るという衝撃的な冒頭シーンから始まる一編。前フリで出てきた人物が実はすべて関係者っていうのはホックの短編ではよくある手。
⑦「ロビン・フッドの幽霊」=“ロビン・フッド”といえば、当然弓矢の名手ということで、弓で射殺される事件が発生する本作。弓とアレではだいぶ違うと思うんだけどね・・・。
⑧「死なないボクサー」=年齢百歳とも二百歳とも噂される謎のボクサー”ムーア”。彼は本当に“死なない”ボクサーなのか、というのがメインテーマのはずだが、かなりアッサリ片付けられてしまう。殺人事件の方も相当アッサリ・・・

以上8編。
これは・・・シリーズものの典型的な「末期症状」。
平たく言えば“ネタぎれ”ということだろう。
“オカルト探偵”サイモン・アークという惹句も、看板倒れが甚だしい。

もともとシリーズ当初から、「サム・ホーソーン医師」シリーズに比べるとかなり落ちるという感想だったのだが、版を重ねるごとにレベルダウンしてしまったということだろう。
短編の名手としては、かなり寂しい中身&レベルに思えた。

No.1 5点 kanamori
(2013/01/18 13:04登録)
オカルト探偵サイモン・アークの第4短編集。作者ホックが自ら選んだこれまでの3巻分の26作品とは違って、本書は訳者・木村仁良氏がセレクトした作品集です。

率直に言うと出来がいいと思った作品はあまりなかったですね。
悪魔との対決を求めるオカルト研究家というシリーズの基本設定が足かせになってマンネリを感じます。また、怪奇現象などの発端の謎に引き付けるものがない、普通の作品が多いように思います。
印象に残った作品を強いていうと、語り手「わたし」の故郷と家族に関わる事件「黄泉の国の判事たち」と、修道院に棲む悪魔の正体が印象的な「悪魔がやって来る時間」ぐらいかな。

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