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ミステリの祭典

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ソロモンの偽証

作家 宮部みゆき
出版日2012年08月
平均点6.80点
書評数5人

No.5 8点 猫サーカス
(2017/10/14 19:08登録)
少年少女を主役に据えた群像小説。一人の少年の自殺が引き金となり、級友たちの日常が破壊されていくさまが描かれている。素晴らしいのは中学生たちが大人に頼らず、自身の手で奪われた平和を回復しようと努力することである。それも極めて理知的な手段を用い、フェアな形でそれを成し遂げようとする。世情の不安を嘆くのはたやすいが、自らの手で解決するためには勇気と努力が必要になる。作者がその姿勢を小説の形で示したことに敬意を表したい。

No.4 7点 ボンボン
(2014/11/17 23:15登録)
こんな出来過ぎな中学生いるわけがない、大人でも無理、と判りながらも、はまってしまった。これだけ長いのに、読後も、その後どうなったのか、あの子はこの子はあの人はと、引きずらずにはいられない。いつまでもこの町の人々を見ていたい、終わってほしくない、中毒になる面白さ。
最初から最後まで引っ張る”真相”の魅力は当然のこと、数えきれないサイドストーリーの展開を操る宮部さんの力は、本当に果てしない。
人間万歳。
でも、宮部さんの作品は、”やさしい”ので、どうしても8点、9点、満点とはなりにくい。凄いのに満点にならないスゴさ。

No.3 4点 バックスクリーン三連発
(2013/12/17 13:40登録)
まず、謎を解くミステリー色は薄かったですね
次に長すぎる
その割には内容が
ラストもなんか作者の説教を聴いているようで

No.2 6点 白い風
(2013/05/23 00:12登録)
3冊のメッチャ長編だったけど、楽しめました。
でも、正直な感想はこの量の半分でもヨカッタかも?です。
ただ、この量でも全く飽きなかったのも事実です。
学校で起こった投身遺体、事故?自殺?イジメによる殺人?
大きな事件じゃないけど、終始ワクワクしながら読めました。
やっぱり、宮部さんの登場人物のキャラは魅力的なの一番ですね。

No.1 9点 HORNET
(2013/02/16 12:27登録)
 クリスマス・イヴの晩に学校の屋上から転落死した柏木卓也という少年。彼は11月に同校の不良グループ、大出俊次らと衝突を起こしてから不登校になっていたが、それ以前から周りの人を寄せ付けない超然とした雰囲気をもった子であった。事件は警察により自殺と一旦は解決されるが、「大出俊次ら不良グループによる殺人だ」という告発状が学校、刑事の父親を持つ藤野涼子、柏木の担任である森内先生のもとに届く。それが報道されたことにより、大混乱する学校。真相を知るために、藤野は遺体の第一発見者である野田健一らとともに、自分達生徒の手による「学校内裁判」を行うことを決めた―。
 藤野涼子、野田健一、学校関係者、告発状を出した生徒など、視点人物が章毎に入れ替わり、それぞれの立場から事の顛末が描かれていく中で、転落事件にかかわる人々や学校の内情が明らかにされていく。「学校」という社会の中で、思春期の子達が何を考え、どのように自分の立ち位置を得ようと生きているか、というリアルな内面の描写は、自分の学生時代を思い起こさせ、共感しながら読んでしまう。また、マスコミに取りざたされるような事件が起きた学校の苦慮、煩悶と格闘の様も非常に巧みに描かれている。
 真相を完全に看破することは難しいが、大体の筋は読んでいるうちに見えてくる。作者も、それを隠さずむしろ分かるように書いており、「読者に一杯食わせよう」というスタイルのミステリではない。よってこの作品の魅力は、そういった謎解きそのものよりも、その過程にある上記のような人間模様というか、それぞれの立場で自分の安定を得ようと必死に生きる人たちの内面描写にあるように感じた。
 1部700p超の3部構成で、かなり厚みのある作品だが、読んでいる時間が本当に楽しく、読了したときには満足感より、「楽しい時間がこれで終わってしまった」という寂しさのほうが大きかった。久しぶりにそんな作品に出会えた。

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