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ミステリの祭典

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知床岬殺人事件

作家 皆川博子
出版日1984年01月
平均点5.00点
書評数3人

No.3 5点 虫暮部
(2023/11/04 13:53登録)
 前半と後半が別のプロットみたい。二重人格と事件の絡みが希薄。当人が何も言わないのに、人格の状態や程度を他者が推察出来ると言うのは納得しづらい。
 とは言え、筆力があるので読まされてしまう。犯人のキャラクターをもっと深く掘り下げると魅力的だったのではないか。
 映画監督の鬱屈する様は、作者も “書きたいものと売れるものとの乖離” で苦闘したようだから、それが反映された憂さ晴らしなのだろうか。

No.2 5点 nukkam
(2016/04/06 19:48登録)
(ネタバレなしです) 皆川作品は凝ったタイトルが多いのですが1980年代にはシンプルに「殺人事件」を付けただけの作品をいくつか書いています(出版社の意向らしいです)。それにしても西村京太郎のトラベルミステリーブームに便乗したかのようなタイトルで1984年に本書を発表したのは当時の読者は驚いたことでしょう。とはいえ内容は西村作品とは全く異なります。前半は二重人格の恐怖におびえる女性を描いていますがサイコサスペンスにはならず、しかも中盤以降はこの人の影が薄くなってしまいます。逆に前半では存在感がいまいちだった人物が後半は探偵役として頑張っていますが、重大なトリックを見破るのはこの人ではないなどどこか違和感を覚えるプロットです。登場人物間の微妙な緊迫感や対立を巧妙に描いており、意外なところに伏線が張られた本格派推理小説として楽しめたのですが、妙なタイミングで官能描写を入れたのは余計だったような気もします。せっかくの叙情性が台無しになりかねません。

No.1 5点 蟷螂の斧
(2012/10/25 20:27登録)
一人住まいの女性宅に、昨日約束した映画製作費の出資をお願いしたいと、映画監督が訪れてきた。女性には全く身に覚えがない話であった。やがて女性は自分が二重人格であると気がつく。そして殺人が起こり、女性は容疑者として捕らえられる・・・。もう一人の人格が殺人を犯したのか?という展開(皆川ワールド)を期待したのですが、後半は通常のミステリータイプのストーリーとなってしまい残念です。

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