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ミステリの祭典

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147ヘルツの警鐘
法医昆虫学捜査官/別題『法医昆虫学捜査官』

作家 川瀬七緒
出版日2012年07月
平均点5.67点
書評数3人

No.3 6点 メルカトル
(2022/10/12 22:37登録)
火殺人が疑われるアパート全焼事件で、異様な事実が判明する。炭化した焼死体の腹腔に、大量の蝿の幼虫が蠢いていたのだ。混乱に陥った警視庁は、日本で初めて「法医昆虫学」の導入を決断する。捜査に起用されたのは、赤堀涼子という女性学者である。「虫の声」を聴く彼女は、いったい何を見抜くのか!?
『BOOK』データベースより。

乱歩賞受賞作『よろずのことに気をつけよ』で痛い目に遭ってから、この作者は今まで避けていました。それをこの期に及んで読んだのは、随分前に購入していたのを思い出したからでした。その時の心情を推し量る事は難しいですが、多分Amazonでの評価が高かったに過ぎないのでしょう。
で、読んでみると多少のグロい描写を除けば、非常にリーダビリティに優れた読み易い作品でした。更に主役の二人の個性が際立っており、昆虫学と事件の真相とに密接な関係性が見られ、その意味でも評価できると思いました。又、先に述べたグロ描写に関して言えば、私にとっては丁度良いアクセントとなっていたように思います。

本シリーズのファンも結構多いようで、確かにそれも納得できる内容でしたね。個人的に気になるのは刑事岩楯と昆虫学者の赤堀の今後です。本作であからさまに匂わせたその関係は果たして発展するのかどうなのか、これは誰しも興味を惹かれるところだと思います。
一つ苦言を呈するならば、盛り上がりそうで今一つ盛り上がらない終盤のクライマックスシーンなど、もう少し書き様があったのではないかと云う事です。まあしかし、ミステリ読みならずとも受けそうな作品であるとは思います。

No.2 5点 makomako
(2014/10/11 07:50登録)
本シリーズの2弾、3弾は登録されているのになぜか第1弾となった本書がないので、登録しました。
 ただし、うーんこれはねえ。出だしがあまりにもグロい。ここまで書かなくてもよいのに。推理小説では時々法医学者が探偵となっている小説を見かけるけど、法医学ってこの小説のような感じのことは実はあるようです。
 昔学生時代に法医学の講義を受けましたが、豊富な写真や時に実物などを見せられげんなりしたことを思い出します。
 さらに昆虫や蛇などを網でとるシーンはいやですね。虫も蛇も嫌いなんです。
 よっぽどここで読むのをやめようと思ったのですが、解説に、初めを我慢すればあとはすらすら読めるとあったので続けて読むこととしました。
 その後は確かにまあ面白かった。だから初めのところをもう少しおさえて書いてもらえばもっと評価は上がったと思います。
 でもこういったグロテスクなのが好きといわれる方もいるでしょうからこれでよいのかも。

No.1 6点 虫暮部
(2014/06/10 19:27登録)
薀蓄として面白いし、ストーリーもなかなか読ませる巧みな筆致である。赤堀のキャラクターは“エキセントリックな専門家”としてパターン通りだし、諸々の事柄が少々都合良くつながりすぎではという思いは否めないが、まあ許容範囲内。しかし本書の法医昆虫学関連のネタはどの程度リアリティがあるのだろうか。実際にこんな手法がアリだったら、今後の警察(が登場するミステリ)小説は大幅な刷新を求められるのでは。

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