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ミステリの祭典

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煽動者
テロリストシリーズ

作家 石持浅海
出版日2012年09月
平均点5.33点
書評数3人

No.3 6点 E-BANKER
(2025/04/19 14:04登録)
タイトルだけ見ると、折原の「~者」シリーズのようにも思えるが、もちろん全然関係ありません。
もともと「V」というタイトルだったものを改題して刊行したもの。
単行本は2012年の発表。

~そのテロ組織の名は「V(ブイ)」。目的は、流血によらず現政府への不信感を国民に抱かせ、その転覆をめざすこと。メンバーは平日、一般人を装い、週末だけミッションを実行。各人はコードネームを用い、お互いに本名も素性も知らない。僕――片桐も組織の一員で、平日は30代前半の会社員、週末はコードネーム「春日」として活動している。この週末、兵器製造のため軽井沢の施設に招集されたのは僕を含め八人。見た目は60代から20代まで、やはり週末テロリストの男女が召集された。施設は表向き企業の研修所となっており、外部からの侵入は不可能。出入りの際は、八人のメンバーの掌紋認証が記録される仕組み・・・~

プロットはかなり凝っている。(緩い)反政府組織のメンバーとして集まる八人の男女。年齢もバラバラ。
組織の大きな目標?に向かってミッションを達成するために集まったわけなのだが、ある日ひとりの女性の扼殺死体が発見される。
冒頭には”これ見よがしに”建物の部屋割り図なんかが挿入されてたりして・・・そそられる

本作における謎は大きく分けて、①殺人犯は誰なのか?と、②組織の正体は?、の2つ。
①はまあ当然といえば当然の謎なのだが、これについては生き残ったメンバーで、ああでもないこうでもないという推理が繰り広げられる。よく言えば、ロジックによる推理だけれど、かなりあやふやな前提条件なんかもあって、読者には推理不可能に思えた。
で、読者としては、読み進めていくうちに②の方が気になってくる。
その解答は・・・。うーん。逆説的ではあるけれど、そこまでビックリするようなものではなかったな。

CC設定の本格ミステリの体裁をとりながら、作者お得意の心理戦をベースとしたミステリ、という表現が適切だろうか。
まあ、まずまず面白いという評価。
そして、ラストの一行には「ニヤリ」とさせられる。

No.2 4点 ボナンザ
(2018/09/21 21:03登録)
またもやテロリストシリーズ。相変わらずの読みやすい内容だが、肝心の推理はまあ、推測に推測を重ねる感じ。

No.1 6点
(2017/10/25 21:39登録)
それなりに面白く読めたけど、読んでいくうちに少し凝りすぎじゃないかとさえ思えてきた。
人を殺さないテロリストの設定としては安易に殺人が起きるところがちょっと不思議な気がする。まあ、そうでなければ、話が進まないのかもしれないけど・・・。
内容的には、組織とはこういうものだという少し面食らうよな展開にちょっと度肝を抜かされるような流れだけど、ちょっと矛盾がありそうだなあと思う。殺人事件が起きたのに警察が関与しないというのもそうだ。まったく常識を無視しているし、つじつまも合わない。テロリストと言うより秘密組織という感じ?それも国家的な。

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