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ミステリの祭典

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死のランデブー
アンドレ・ブリュネルシリーズ

作家 ピエール・ボアロー
出版日1986年10月
平均点5.33点
書評数3人

No.3 5点 人並由真
(2018/09/10 17:17登録)
(ネタバレなし)
 フランスの1950年作品。ボアローの名探偵アンドレ・ブリュネルの最後の長編。 
 それで出来は……はあ~。この手の大技を使うなら、もう少し伏線を張ったり手がかりを散りばめたりすれば良いのだが、それでは読み手に察せられると作者は警戒した…………のではなく、単に天然に書いちゃった、という感じである(笑)。
 いかにもこの作者。この時代にしてはクラシックすぎる、アイデア先行のフランスパズラー。その意味では、まあ面白かったけれど。

 あとネタバレになりそうなので注意しながら書くけど、最後に明かされるこのネタは、今年の国産の某新作ミステリでよく似たようなのが登場しちゃってますな。そっちはさすがに21世紀の作品らしい考証で、えー、それって、ありー、という大ネタを補強してあるけれど。
 たぶん双方の作品の相似は暗合だろうけれど、半世紀を超えた事例をふたつ並べてみて、東西新旧のミステリ作家なら、けっこうみんなやってみたいネタなんだろうとも思います。

No.2 4点 蟷螂の斧
(2013/08/08 15:42登録)
「誰が?」でもなく、「なぜ?」でもなく、「いかにして?」でもない。にもかかわらず、ひとつの本格探偵小説なのである。~<著者>~に惹かれ拝読。結果は、見事に?裏切られました(苦笑)。救いは、美貌の未亡人を慕う従弟の心情が、うまく描かれていて楽しめたことですね。

No.1 7点 nukkam
(2012/09/18 19:11登録)
(ネタバレなしです) ボアローはサスペンス小説家トーマ・ナルスジャックと親交を結び、やがてコンビ作家ボアロー&ナルスジャックとして「悪魔のような女」(1952年)を皮切りに20作以上の作品を発表することになるのですが、1950年発表の本書は単独執筆作品としてはおそらく最後と思われる、アンドレ・ブリュネルシリーズ第7作です。本書のフランス長編ミステリー傑作集版を読む場合には、まず巻末に置かれた「はしがき」を読むことを勧めます(フランスの原書では冒頭に置かれているようです)。ネタバレ防止のために詳しく書けないのですが、「謎は『誰が』でも『なぜ』でも『いかにして』でもないが、でも本格派推理小説である」という「はしがき」には嘘も誇張も感じられません。風変わりではありますが確かに本格派推理小説として楽しめる作品でした。登場人物の心理描写をたっぷり描いて不安を増長させているところはトーマ・ナルスジャックの影響を既に受けているかもしれません。

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