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ミステリの祭典

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死なない生徒殺人事件
識別組子とさまよえる不死

作家 野崎まど
出版日2010年10月
平均点6.33点
書評数3人

No.3 7点 パンやん
(2016/04/20 18:45登録)
サクッと読めるラノベミステリーと侮るなかれ、中々の読み応え。不死の定義がコレ?とか、えっ図形トリック?とか、猟奇的な展開にもぐいぐい引き込まれるが、犯人当てのうま味より、犯人と被害者の関係性と、逆転の構図から生まれる微かな余韻が素晴らしい。

No.2 6点 アイス・コーヒー
(2014/07/21 15:40登録)
「永遠の命を持つ生徒」が殺される、というパラドックスを描いた作品。その内容はかなり非現実的なものではあるが、一方で推理小説的な解決を持たせる興味深い作品だ。
首切り殺人のホワイダニットやフーダニットは地味で新鮮味はない。しかし、メインテーマとなる「不死の疑問」については実に納得の真相が提示されていて驚かされた。しかし、ここまで来るとホラーのレベルだな~とも思う。
また、思わぬ伏線やミスディレクションも随所に配置され極めて密度の高いミステリだ。まさか受村先生のアレまで…。
唯一疑問に残ったことは不死を証明するために識別がわざわざ図形を書いていたことで、それはあんまり関係ないような気が。結末の意外性を高めているとも云えるけど…。
ところで、本作のテーマは「教育」なのか?

No.1 6点 メルカトル
(2012/07/01 21:43登録)
永遠の命をもった生徒が存在する、という密かな噂がある名門私立藤凰学院(女子高)に新しく赴任した、生物教師の伊藤。
彼は後日、その「死なない生徒」だという女生徒に声を掛けられるが、彼女はその後しばらくして頭部を切断された死体となって発見される。
犯人はいったい誰なのか、なぜ頭部を切断されたのか?
といったストーリー展開で、この事件は連続殺人に発展する。
少しミステリを齧った読者なら、容易に犯人は予想できるはずだし、首を切った理由も想像がつくだろう。
しかし、問題は勿論それだけに留まらない。
つまり、死なないはずの生徒がなぜ殺されたのか、という究極の命題が残されている。
ライトノベルでありながら、新たなミステリの形を提唱しており、“不死”の定義付けという難しいテーマに挑戦する姿勢は立派だと思う。
ただし、最終的な解決は首肯できかねる部分もあり、若干不満が残るが、なかなか面白く読ませてもらったのも事実ではある。

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