home

ミステリの祭典

login
奥様はネットワーカ

作家 森博嗣
出版日2002年07月
平均点4.50点
書評数4人

No.4 2点 Tetchy
(2020/06/04 23:37登録)
軽めの題名に軽めの登場人物とポップなイラストがふんだんに盛り込まれた作品だが、描かれている物語はなかなか凄惨で重苦しい。
某国立大学を舞台に起きる連続殺人事件。その大学の化学工学科の面々を中心に物語は進む。

各章はほとんど各登場人物を中心に書かれ、そこに書いてある心情が実に暗鬱で内省的。この頃は『四季』4部作を発表した時期と重なり、同4部作で見られた観念的な記述が本書でも踏襲されている。詩的で抽象的で観念的で、独善的。自分の世界に入り込み、ますます排他的になっている印象を持つ。

インターネットの普及によりいわゆるネット人格が叫ばれてきたことだ。二重人格、三重人格という人たちはかつて精神異常者の中でも最上級の物として恐れられてきたが、インターネットが普及することでほとんどの人が匿名性のあるハンドルネームを持つことになり、それによってネット社会という非日常を手に入れることで内面から湧き出る新たな人格が生まれた。
つまり本書はこの新たなツールによって誰しもがネット人格という別人格を持つことができ、それがサイコパスに発展する危うさを描いていた作品と捉えることも可能だろう。

また題名となっているネットワーカの奥様は、ウェブで偽りの日記を付けていたスージィではなくルナだったという軽い叙述トリックになっているが上記を踏まえるとスージィもまたその自身の思い込みによって仮想の奥様であり、あながちミスディレクションでは無いとも深読みできるのである。

当時森氏の人気は絶大でまさに引く手数多の状態。そんな状況で流石に筆の早い森氏でもやっつけ仕事の1つや2つはあったことだろう。本書はそんな感じを受ける作品だ。

No.3 6点 ∠渉
(2013/11/25 00:25登録)
内容云々の前にコジマケン氏のイラストがキャッチーで良かった。
森さんといえば他作品で西之園萌絵、犀川創平、瀬在丸紅子など、魅力的なキャラクターが登場しますが、本作はなんというか、「キャラ萌え」が全くない。なんか新鮮でした。あまりにも無機的な感じ。絵のポップさも乖離を生んでて、ある意味で一つのプロットを読んでいる感覚。度々挿入されている詩も文学的付加をプロットに接いでいる感でこれまた無機質な感じ。

で、最終的にネットワーカがあの人だったわけで、じゃあどこであの人はネットワーカしてたんだ?ってとこが「みんな道化師」であり、プロット臭い文章と、抽象的なものを題にした詩の意図なのかなと、僕の解釈として、思いました。どうでもいいんでしょうかね、それは。軽い文章なんだけどなかなか全体像を読み切れないところが憎い。

ミステリーとしても楽しめたし、ホラーとしても楽しめたし、作品を読ませる構成も効果的で良かったし、何より森ミステリィとして楽しめたので6点つけたりました(コジマケン氏のイラストに3点!)。

No.2 5点 バファックス
(2004/07/03 03:10登録)
時々やってる森博嗣「知識&欲望」小説の一種。で、そっから、逆算すると謎が解ける。
最後に遊んでいるように感じるのは、読みが甘いのかなぁ。

No.1 5点 kamomiro
(2004/03/05 05:54登録)
人少ないね・・、ダヴィンチでの連載は読んでなかったので楽しみにしてた。登場人物各々の視点から書かれたあの形式は平凡なミステリにメリハリをつけるよい仕掛けだと思った。それとキャラの誰にも自分が共感できないところが読んでて面白かった。

4レコード表示中です 書評