home

ミステリの祭典

login
グッバイ・ヒーロー

作家 横関大
出版日2011年05月
平均点5.67点
書評数3人

No.3 6点 猫サーカス
(2017/12/04 18:10登録)
巻き込まれ型の犯罪サスペンス。「困っている人がいたら助けなければいけない、それが俺のルール」という亮太は、奇妙で厄介なトラブルに次から次へと巻き込まれつつも機転を利かせて解決する。ある時わけありな、おっさんの頼みをひそかに受け入れたところ、思わぬ事態に。大金をめぐる攻防、裏社会の組織と、手ごわい問題や相手ばかりが立ちはだかる。話の運びの面白さと意表を突く逆転の妙に加え、亮太のバンドのライブが間もなく始まるため、時間内に解決しなければならないというタイムリミットサスペンスの要素が加わり、一段とスリルが増している。作者ならではの、ハートウォーミングな味わいをももった痛快なミステリ。

No.2 5点
(2012/01/31 09:52登録)
主人公の亮太は、面倒見のよい、行動力とリーダシップを備えたビザ配達人。一方のおっさんは、お人よしで、沈着冷静で思慮深く、それでいて大胆な行動もとる運び屋稼業。でもなぜか見た目は冴えないおっさん。
本書は、そんな二人が偶然にも立てこもり事件で知り合って、そこから派生するさらなる事件に立ち向かっていく、友情あり、アクションありの予定調和・ご都合主義エンタテイメント作品です。

本書の魅力は、亮太とおっさんのキャラクタに尽きます。こんな二人のヒーローが組めばおそらく向かうところ敵なしなのでしょう。予定調和も、ご都合主義も止む無しといったところでしょうか。滑らかで厭味のない文章も手伝って、変転多きプロットを気持ちよく、楽しむことができました。

それにしても、横関氏がデビュー第2作でこんなテイストの小説を書くとは驚きです。乱歩賞受賞後第1作だからミステリー的にもっと気合いの入ったものを想像していましたが、早々と箸休めという感じがします。ベテランの推理作家が肩の力を抜いて、老若男女に受けるようにさらりと書いたような作品のように思われました。もちろん、こんな気楽に読める作品でも当然に苦労があるとは思いますが・・・。

No.1 6点 まさむね
(2012/01/09 21:09登録)
 乱歩賞受賞第一作ですね。
 音楽を愛するピザ配達人「亮太」と、立てこもり事件で出会った「おっさん」が織り成す,謎と絆の物語。
 特筆すべきは,リーダビリティの高さ。素晴らしい。本格色はないものの,断続的反転はなかなか楽しめました。ハードボイルド的趣向も効いています。読後感も良し。(ちなみに某作家のタッチに似ているような気も・・)
 乱歩賞受賞作(「再会」)で個人的に注目していましたが,受賞第一作は期待以上の出来栄え。早速,次回作も読んでみます。

3レコード表示中です 書評