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ミステリの祭典

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邪馬台
蓮丈那智フィールドファイル4 浅野里沙子補完

作家 北森鴻
出版日2011年10月
平均点5.33点
書評数3人

No.3 6点 猫サーカス
(2021/05/08 18:54登録)
異端の民俗学者と呼ばれる蓮丈のもとへ、知り合いの古物商から、「阿久仁村遺聞」という資料が送られてきた。その25編から成る手書きの古文書には、村で起こった出来事が民話や伝統のように記されていた。だが、そこに隠された謎を読み解き、「邪馬台国」に関する議論を重ねていく過程で、思わぬ事件が巻き起こる。これまでも多くの学者や作家が邪馬台国の謎に挑んできたのはご存知のとおり。「魏志倭人伝」に記された卑弥呼が治める女王国とは日本のどこにあったのか。ここでは現代の調査と事件を軸に、謎の古文書に含まれる鏡のモチーフをはじめ、廃村、ヤマタノオロチ伝説といった多くの手掛かりから、明治期に村で起こった大量殺人事件、および歴史に隠された邪馬台国の謎が暴かれていく。民俗学や古代史に関する深い考察ばかりか、骨董や美食の蘊蓄なども含め、多彩な魅力がいたるところに詰まっている。

No.2 5点 makomako
(2014/05/03 08:06登録)
 北森氏逝去により未完となった作品を浅野里沙子氏が書き継ぎ完成させた大作。邪馬台国と忽然と消失した村に伝わる文献の謎解きという魅力的なテーマに果敢に挑んだ野心作ではある。しかし完成に持ち込んでくれた浅野氏には申しわけないが、途中からえらくご都合主義となり腰砕けとなってしまったのは残念です。
 北森氏は好きな作家ですが、蓮杖那智が好きでないのでこのシリーズのみ読み残していました。魅力的な内容なのにやたらな暴君の主人公にペコペコの助手というのが面白くない。読んでいるとだんだん腹が立ってきて、とても主人公に肩入れできないのです。他のシリーズのメインキャラクターで本作にも出てくる性悪の冬狐や越間なんかは大好きなんですがねえ。

No.1 5点 kanamori
(2011/11/27 21:34登録)
蓮丈那智フィールドファイルの4作目。作者の急逝で中断した作品を、氏の公私のパートナーだった女性が書き継いだ長編です。
邪馬台国の謎という手垢のついた題材ながら、民俗学的な観点で、”邪馬台国はどこか?”ではなく、”邪馬台国とは何か?”というアプローチが斬新。結論もなかなか説得力ありそう。ただ、出雲大社や吉備津神社の件など、高田崇史のQEDシリーズとネタがだいぶ被っていますが。
本筋はある古文書を巡るミステリで、冬狐堂や雅蘭堂、池尻大橋のバーの店主など、各シリーズのキャラクター総出演といったところですが、中盤以降は荒唐無稽な伝奇&陰謀ものの様相になっていてシラケました。

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