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ミステリの祭典

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ヴェサリウスの柩

作家 麻見和史
出版日2006年09月
平均点4.67点
書評数3人

No.3 6点 よん
(2022/06/28 13:50登録)
法医学教室を舞台にした医学業界情報サスペンス。
解剖用の献体の体内から出てきた不可解なメッセージを起因として、次々と事件を重ねていく筆致は新人離れしている。
犯人の目論見が生み出す恐怖感が、少しずつ事件の関係者を蝕んでいく。その過程に迫真性があり、澱みがないため、最後まで物語は引き付けて離さない。

No.2 4点 いけお
(2013/04/14 22:29登録)
期待ができる序盤の展開に対して、ミステリ的な要素が低く残念。
全体的な方向性が曖昧なまま終わってしまった。

No.1 4点 E-BANKER
(2012/10/10 22:09登録)
第16回の鮎川哲也賞受賞の作者処女長編。
大学医学部を舞台にした医療ミステリー。因みに「ヴェサリウス」とは16世紀に活躍したベルギーの解剖学者の名前。

~医学部での解剖実習中、遺体の腹から摘出された一本のチューブ。その中には研究室の園部教授を脅迫する不気味な四行詩が封じられていた。動揺を隠せない園部。彼を慕う助手・千紗都は調査を申し出るが許されなかった。しかし、今度は千紗都自身が標本室で第二の脅迫状を発見してしまう。禍々しい“黒い絨毯”とともに・・・事務員の梶井とともに犯人の正体を調査し始めたが、その後思いもよらない事実が判明した!~

個人的な好みとはやや外れた、という感じ。
鮎川賞というよりは乱歩賞作品を髣髴させるプロットで、ある専門職(本作では解剖医)の主人公が、ある事件や陰謀に巻き込まれていき、ついには殺人事件までもが発生してしまう・・・事件の裏には過去の哀しい事件が・・・というような既視感たっぷりの展開なのだ。
しかも、終盤、事件は大筋解決するのだが、さらに二重構造の真相が発覚してしまう。
この辺りになると、予定調和の一言なのだが、こういったプロットをどれだけ読者に魅力的に見せるかというところが作者の手腕またはセンスなのだろう。

そういう意味では、処女作品とはいえ成功しているとは言い難い。
個人的に「医療ミステリー」は好物なのだが、例えば海堂尊や川田弥一郎などと比べるとかなり落ちる。
このジャンルって、例えば病院だったり医学部の研究室内のドロドロした人間関係や何らかの医療トピックが「ツボ」だったりするのだが、その辺もどうもピンとこなかったなぁ。
今まで鮎川賞作品は他の受賞作よりも面白いという評価だっただけにちょっと残念。
(作者の経歴を見ると文学部卒なんだねぇ・・・。取材力には敬意を表するけど、その辺りが今一歩感の原因かも)

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